神様 15 ページ16
事務員のバイトに就いてもう2週間と半分。
Aは、どっぷりと疲れきっていた。
何しろ、一つも変わらない。
武装探偵社に来れば、自分のこの変な体質にも何か変化が訪れるかもしれない。そう思いながらも雑用を片付け、掃除をし、時に会議中の探偵社員達にお茶と菓子を配る。たまに事件の補佐もする。
そんなこんなで濃い2週間。
雑用の紙を纏めれば他の事務員が零した珈琲がしみ、また作り直すハメに。掃除をすれば掃除用具のドアを開けた瞬間バケツが落っこち頭に。茶菓子を出そうとしたナオミを手伝おうとし、自分が持った瞬間突如落っこちる皿。ナオミは皿をAに預けたので、結果的にAだけが指を怪我するハメに。
ここまで来れば、他の者達も、はたまたAすらも何も言えなくなる。もはや一周回って嘲笑しても良い水準だった。
ただ、Aはそんなすぐには笑い飛ばせぬ性格だった。日に日に責任感を増していき、日に日に周りを警戒するようになり、必要以上のことをしない。
そんな暗殺者のような性格になっていってしまった。
太宰は「こんなはずじゃないのになぁ」と言った顔をしている。他の社員全員、死んだ目で帰るAのことを心配していた。
――ある日。
Aが探偵社にバイトをしに行く途中。Aは遠くからでもわかる個性的な髪型を発見した。
『あ、敦さん。何してるんですか』
敦がAの方に振り向く。その手にはメモ用紙と小さな財布。
「与謝野先生に買い出しを頼まれちゃって」
『手伝いましょうか、私なんかの不幸人間で良ければ』
「そんな、不幸人間だなんて…是非、手伝って下さい」
敦とAはそう言った会話を交わしながら街中を歩いていった。
それを建物の影から監視する1つ、いや、無数の影。
その中の1人はある人に電話をかける。
「…首領、例の厄神女神、見つかりました。どうやら探偵社と絡んでるようです」
(そうなのかい、武装探偵社とは協定を結んでるから、争いたくはないんだがね…手段は問わないよ、君の好きなやり方でやってくれた前、中也君)
「かしこまりました」
そこで電話をきる。青年――中原中也は口角を上げて呟く。
「俺のやり方でなぁ…やっぱり手っ取り早く…だよなぁ?」
彼は早く1度自分を敗北させた少女と再戦したかった。
はたしてあの噴水公園の時の出来事に敗北や勝利があったのか。
それは彼のみぞ知る。
「さて……行くぞお前ら」
中也の合図に黒服は一斉に動き始めた。
596人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩りパスタ@しばらく読み専(プロフ) - 橙咲智歌さん» コメントありがとうございます!賢治くんには出会うのでしょうか、何処までが真実か分からない人ですからね・・・コメントでもボードでも仲良くして下さりありがとうございます! (2018年4月28日 12時) (レス) id: 1634f08530 (このIDを非表示/違反報告)
橙咲智歌(プロフ) - 読み終わって「はあぁぁぁぁ…」と感嘆の声を漏らしてしまいました!迚も世界観に引き込まれて面白かったです!夢主がラスボスだった事実…ひょえぇ…最後の最後にどんでん返しが来るとは思ってませんでした!イーハトーヴォ村…帰省した賢治くんとの遭遇フラグ…?← (2018年4月28日 10時) (レス) id: e71731f15b (このIDを非表示/違反報告)
彩りパスタ@しばらく読み専(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!ラストがお好みに添えていれば良いのですが・・・ (2018年4月27日 23時) (レス) id: 1634f08530 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです(≧∀≦)続きが、すごく気になります(≧∀≦)これからも、頑張って下さい(≧∀≦) (2018年3月31日 9時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
すーしー。(プロフ) - 彩りパスタさん» いえいえ。イラスト楽しみにしています〜 (2018年3月9日 21時) (レス) id: 4e9f960f28 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:彩りパスタ | 作成日時:2018年2月15日 19時