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黄side
こんなに心配しとるのに、くすくす笑うしげ。
なんやねん、笑う元気はあるんやん。
赤「や、やって…血相変えて来るんやもん、しかも服濡れとるしっ…」
あー、なんかバカにされとる？
黄「ほんっま、びっくりするやろ…」
お腹痛いとヒィヒィするしげを睨みつつ、今だ神楽が流れているCDデッキのスイッチを消す。
黄「はい、今日のアイス…」
ひとしきり笑い終えたしげの隣りに座り、目的であったアイスの入ったビニール袋を手渡す。
赤「ありがとっ…」
嬉しそうに袋を覗くが、すぐに顔色は曇っていく。
「また溶けてる…」と、ジロっと恨めしそうにこちらを見る。
黄「しゃあないやろ、ここまでちょっと歩くんやから」
赤「おじじは足が遅いからなぁ〜…」
黄「まだそんな歳とちゃうわ」
と、言い合いつつも しげは幸せそうに半分溶けたアイスを頬張る。
赤「ん、つめひゃい…」
夏が似合うとはこういう事か。
ジリジリ照りつける太陽が、自然豊かなこの神社を照らし光り輝く。
たった1台の扇風機に髪を揺られ、汗を垂らしながら 空と同じ色のアイスを頬張る。
青と緑に包まれたこの景色に、この夏に 彼は吸い込まれてしまいそうで。
黄「……ほんま、儚いな」
赤「へ…？ひゃんて？」
どこかの本で読んだことがある言葉を呟いた。
黄「儚いなって、思ってん…」
うっすら残った涙の跡、少し赤く滲んだ瞳。
何があったのか結局教えてくれんかったけど、少ししげの内側が見れた気がして 俺は嬉しかった。
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作者名：おかゆ。 | 作成日時：2020年7月16日 19時
