君の鈴の音 (ページ12)

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黄side

黄「っはぁ、も、びっくり、した…」

眩しい海面へ酸素を求めてようやく顔を出す。

橙「できたやん！！！」

紫「は〜、死ぬかおもた…」

初めての海は、固くギュッと目を閉じていたから海の中がどんな様子だとか魚はいたかとか全く見る余地もなかった。

その代わり、こぽこぽ聞こえる空気の音、遠く聞こえる笑い声、プールとは違い勝手に浮き上がる体。

怖かったけれど、不思議と嫌ではなかった。

赤「あっははは…自分飛び込むん下手やなあ…」

ふと橋の上からケラケラと笑う声。

黄「え…？」

ジリジリと眩しい太陽の光と共に楽しそうに笑窪を浮かべる彼の姿。

チカチカするくらい海面と太陽の光が彼を、しげを照らしだす。

赤「じゅんたぁ〜、そこおってやぁ！！」

黄「え、ちょっ！？」

よじよじと橋の上に登ったかと思えば俺の方目掛けて飛び込みにきた。

向日葵にも負けないとびきりの笑顔で、俺目掛けて落ちてくる。

黄「っ…！」

ぶつかる、と目を閉じた時白く華奢な腕が俺を波の中へ攫っていった。

大丈夫、とでもいうように優しく海の中へ連れていくからそっと、目を開く。

白く輝く空気の泡、虹のように輝く海面、小さな魚たちが逃げるように優雅に泳ぐ姿。

俺の腕を引っ張って陸へ連れていってくれる眩しい彼の姿。

黄「はぁ、は…っ…」

赤「どうやった？都会もええけど、海もええやろ」

長いこと海の中にいたからか、目を開けてしまったからかじんわり海水が染みてぼやけて見える。

それでも彼の姿は輝いて見えて。

黄「……綺麗」

赤「やろ？」

きっと、一目惚れなんやと思う。

誰よりも眩しい彼に、ずっと惹かれていたんやから。