ココアの味は。 (ページ34)

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赤side

ずっと気になってた絵本カフェ。

男ひとりで行くのもなぁ、なんて小瀧を連れてきたけど…。

赤「はぁ…」

周りを見れば女の子ばっかり。

きゃあきゃあ言いながら小瀧のこと見とる女子を睨みつけるが、対して効果なし。

本人は全く視線に気付いてへんし…。

なんなん、モヤモヤする。

そんな気持ちを紛らわせようと絵本の棚に目を移す。

懐かしい絵本から最近のものまで所狭しと並んでいる。

赤「これ、ええなぁ…」

目に止まったものを手に取っては、童心に返って読み耽る。

この時間が何よりも好きやねん。

小さい頃、先生が読んでくれた絵本に釘付けになって、絵本の世界を信じてたからなぁ…。

保育士になった今も、子ども達が目をキラキラさせて見てくれるその時間が愛おしくて、幸せで。

桃「何読んでるんですか？」

赤「へ？あぁ…」

思わず絵本の世界に入っていたからか、突然小瀧の声がして驚いた。

せや、今デート中…なんや。

桃「へぇ…ね、先輩読み聞かせしてくださいよ！」

お願い！なんて子犬のような瞳で訴えられたら断ることもできず…。

赤「い、１回だけな？」

小瀧には甘い自覚はある、それだけ大好きなんやもん。

やから店内に響かないよう、ちっちゃな声で大きな子どもを絵本の世界へ連れていくことにした。