ココアの味は。 (ページ24)

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桃side

ようやく退院が決まった神ちゃん。

季節はあっという間に過ぎていき、木々が色とりどりに色付いていた。

重岡先輩とは、あれから何も進展せず、ただただ時間だけが過ぎていた。

俺がどれだけアプローチしても、全く響かない先輩。

ここまで来れば、俺の心も折れかけてもうて。

どうすればええんか、分からへん。

俺のこと、意識してくれてるんちゃうん？

もう、好きやなくなったん？

なぁ、先輩っ…。

青｢…む、のぞ…っ…｣

ふと遠くから声がして…。

青｢望っ！｣

桃｢へ！？｣

いや、隣から。

青｢ぼーっとして、もう病院着くで？｣

せやった。

今日は神ちゃんが退院する日。

この後みんなでカフェに集まろうって話になって
やったら、神ちゃん迎えに行こかって。

青｢どうせしげのこと考えてたんやろ？｣

恋煩いやなぁとニヤニヤしてくる。

桃｢そ、んなことないしっ！｣

青｢あ、ほら。今日はおるやん。｣

なんて、流星に心の中まで見透かされてるようで。

病院に着く手前にある公園に見慣れた姿を見つけた。

赤いエプロン。

艶めいた黒髪。

俺の大好きな笑顔。

青｢寄ってく…？｣

そんなこと聞かれたら、寄るに決まってるやん。

桃｢行く…｣

少しドキドキする胸の鼓動がうるさい。

そんな鼓動につられてか、先輩に向かう足は早まった。