2.ココアの味は。 (ページ6)

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赤side

…先輩も、俺に夢中になりませんか？

少し悲しそうな顔をして、俺に向けられた言葉。

なぁ、勘違いしてもええ？

小瀧が俺の事を好き、とか…。

心臓がぎゅっと痛いくらい締め付けられた。

なにか答えようとしても、喉になにか詰まったように声が出ない。

結局、俺が声を出せたのは小瀧が慌てて帰ってから。

赤「……もう、夢中やって」

紫「なら、ちゃんと気持ち伝えなあかんなぁ…」

静かな店内に流れる音楽に混じって、濵ちゃんの優しい声が響く。

紫「勘違いしてもええと思うよ」

まるで俺の心を盗み見したんか濵ちゃんは。

紫「これ、俺の代わりに渡してくれへんか？」

赤「…あほやなぁ」

どうやら小瀧は急ぎすぎてお釣りを忘れたみたい。

紫「俺は店番あるから、パッと渡してきてなぁ」

濵ちゃんから受け取った小銭をキュッと手のひらで包む。

もしかしたら、もう会えへんかもしれへん。

長い片想いも、そろそろ終わりにしなあかん。

ずっと引きずって、前に進めない自分が悔しくて情けなくて。

赤「…行ってきます」

ちゃっかり俺の分まで払ってくれた君に、ちょっとだけ俺の想いを聞いて欲しい。