2.ココアの味は。 (ページ23)

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赤side

紫「ほら、ココアでも飲んで落ち着きぃ…」

大学から逃げてでたものの、この後の事は何も考えてなくて。

結局フラフラ歩いてたらカフェにたどり着いた。

赤「落ち着くもなにも…っ、こたきぃ…」

紫「あ〜、もう泣かんの！」

さっきのことを思い出しては目頭が熱くなる。

元々女の子が好きやった小瀧や、

やっぱりかわいい女の子の方がええんやろ。

大してかっこよくもかわいくもない俺なんかの隣にいてくれる方がおかしいのに…。

紫「普通に喋ってただけやろ？」

赤「………距離近いしっ…、仲良さげやし…、お、女の子やもん…」

肩が触れ合うほどの距離、お互い楽しそうに笑いあってさ…。

俺なんか今だに手を繋ぐことさえ緊張して自分からはできへんのに。

胸がギュッと痛くて苦しくて、この感覚がとても懐かしく久しぶりに感じる。

赤「………俺が女の子やったら良かったのに」

まだ俺も学生の頃、小瀧に片想いしていた時。

ちょっとでも振り向いて欲しくて頑張って、それでも男同士という壁にぶつかって負けて。

毎日のようにかわいくなりたい、女の子になりたい。

そう夢見ていた。

赤「……はまちゃん、女の子なりたい」

お昼の割に珍しくお客さんがいないことを良いことに濵ちゃんを困らせてやる。

紫「…そんな悩んでたらこれから身が持たへんで？

望はモテるんやから…」

呆れたように自分の分のコーヒーを注ぐ濵ちゃん。

望はモテる。

その一言が胸に刺さったと同時に、

客が来たことを示すベルが鳴り響いた。