2.ココアの味は。 (ページ15)

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赤side

赤「…うそ」

振られると思って覚悟してたのに、小瀧から出てきた言葉はあまりにも信じられなくて。

桃「嘘ちゃいます、」

好きな人と同じ気持ち、そう感じただけで今まで苦しかった胸の痛みは温かい痛みへ変わった。

赤「で、も…男同士、やねんで？」

桃「知ってます」

同じ気持ちになることを望んでいたようで、ずっと避けてきた。

赤「小瀧の普通の幸せが…消えてまうねんで…？」

かわいい女の子と付き合って、結婚して。

いつか子どもができて。

周りからの視線も気にすることなく、デートやってできる。

赤「小瀧の幸せ、奪いたないねん…」

俺のせいで、その幸せを壊したくない。

桃「……俺の幸せは、結婚することでも、家庭を持つことでもないです」

ふわり、と甘い小瀧の香水の匂いが広がる。

あぁ、抱きしめられたんやって。

桃「変なこと考えすぎです、俺は先輩と一緒に居られるだけで幸せやねん」

赤「でもっ…」

俺が答えようとすれば、言わせまいと力強く抱きしめられる。

じんわりとひた小瀧のぬくもりが、夜風で冷えた体を温めてくれる。

桃「カフェの皆から聞いたんです、先輩が俺のこと振り向かせようと頑張ってくれてたこと…」

赤「わ、忘れてや…」

あれだけ内緒にとお願いしていたのに、全部筒抜けやないか。

頬が熱く染まっていくのがわかる。

恥ずかしい。

桃「忘れへん、こんなに俺の事を一途にみてくれる人なんかおらんもん」

小瀧の顔は見えないけど、きっと優しい顔して笑ってる。

ふっ、と当たる息がくすぐったいから。

桃「ね、先輩の返事教えてください」

抱きしめられていた体を離し、視線が絡んだ。