2.ココアの味は。 (ページ13)

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赤side

俺が笑ったから、小瀧も嬉しそうに口角を上げる。

この笑顔が、憎めないほど愛おしい。

桃「10秒だけ、聞いてくれますか…？」

図体のでかい大型犬やのに、あざといきゅるっとしたその目が好き。

赤「…10秒、だけな」

何だかんだいって、俺も小瀧に甘い。

甘すぎるくらい、小瀧のお願いを叶えてあげたいと思う。

今から伝えられる言葉にビクビクしつつも、やっぱり好きなんやって温かい気持ちでもあって。

大好きな人から振られるのなんて、1度あったんやから。

それも小瀧本人に。

大丈夫、大丈夫…。

もう、諦められる。

桃「え、と…あのっ…」

10秒やって言うといて、躊躇う小瀧。

なんか、焦れったい。

赤「ほら、10秒やろ？」

桃「わ、分かってますよ！」

赤「ちゃんと聞くから、覚悟は出来てる」

逃げてばかりやったけど、今だけは。

その口から告げられる音を逃さぬように…。

桃「っ…、言いますよ？」

いつもより真剣なその眼差しに引き込まれる。

喉元がキュッと、緊張で絞まるのがわかる。

1音1音はっきりと、小瀧の声がゆっくり頭の中で響く。

桃「…俺はっ、重岡大毅が━━━。」