お刀様と、暮らすことになりまして。 (ページ3)

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禍々しい気配ページ3

ピリッ

「っ？！」
こちらに放たれた殺気に気がついて僕はきよみつを抱いたまま反射的に振り返る。
が、そこには何もいない。
「気のせい、かな。」
「おにしゃん？」
「うん、何でもないよ。行こうか。」
そう言ってまた歩き出そうとした時だった。

ビリッ

「っう！！！」
背筋が凍るような、嫌な気配を僕の体は察知した。
「うっ...」
「きよみつ？」
するときよみつが僕の服の袖をギュッと引っ張る。
その手は小刻みに震えていた。
「わかりゃ、ない。こわ、い」
「きよみつも察知したのか...？」
僕はゆっくりと辺りを見渡す。
いつも通りの、境内。

「違う！」

生温い風が僕の頬を撫でた。
目の前には黒いもやが辺りに広がっている。
さらに水も黒く濁りとぷん、と音をたてて溢れていた。
こんなの、違う。僕の知っている神社じゃない！
これは、異常だ。
いつのまにか空は血のように真っ赤に染まり、木々は枯れて。
生き物の気配なんてもう、きよみつ以外は感じられない。

べちゃっ。

「えっ...」

どちゃっ...

背後から何かを引きずって歩くような音が聞こえてくる。

にちょっ。

音の方向は、こちらに向いている。

ぐじゃあ。

「っ、こうなったら。」

僕は、

きよみつを抱いたまま

後ろを振り向くことなく

全力で境内から逃げ出した。