お刀様と、暮らすことになりまして。 (ページ2)

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おなまえページ2

みかんのダンボールの中に子猫、とか子犬という展開はわかる。
僕の友人も実際にダンボールの中に入れられて捨てられていた子猫を保護して、今も共に生活している。

しかし。

ダンボールの中に人、ましてや子供が入っているこの状況というのは僕は、いやほとんどの人は遭遇したことがないはずだ。

と、中に入っている男の子がくしゅん！とくしゃみをした。
「しゃむい...おにしゃん、だれ？」
男の子は赤い目をくりくりさせて僕を見ている。
薄汚れた薄い着物に身を包んでいる男の子に話しかけながら僕は自分の首に巻かれていたマフラーを彼にかけてあげる。
「僕は、澄白由季(すみしろゆき)。君のお名前は？」
「おれ、きよみつ！」
「きよみつっていいうんだね。きよみつはどうしてここにいるの？」
彼は首を傾げて大きな声で、こう言った。

「わかんない！」

「わからない、の？」
「うん。」
「お父さんや、お母さんは。」
「わからない」
「え。」
父母のことを知らないとなると、後の頼みの綱は親戚ぐらいしかない。
「おじいちゃんとか、おばあちゃんとか...」
「おれと、いっしょにいたのはあるじとおきたくんなの！」
「あ、あるじぃ！？おきたくん？！だっ、え？」
ますますわからなくなってきた。
「あるじは、おれをよんでくれたひと。」
「その、あるじっていう人はきよみつのお母さんなの？」
「ちがうよ！...でもおもいだせないの。あるじといっぱいすごしたはずなのに、あるじのかおがまっくろになってる。」
「記憶喪失？」
だんだんややこしいことになってきた。
とりあえず、彼を警察に連れて行かないと話が進まない気がしてきたので僕はきよみつに問う。
「今からきよみつを助けてくれる人のところへ行こう。」
「たすけて、くれるひと？」
「うん、お巡りさんならきっと探してくれる。そこまで行きたいからきよみつを抱っこしてもいい？」
「うん、わかった！」

僕はダンボールからきよみつを抱き上げる。思ったより彼の体は軽かった。
「しっかりつかまっててね。」
僕がきよみつを抱いて歩き出そうとした時だった。

ピリッ

「っ？！」
こちらに向けられた殺気に気がついたのは。