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近くのタクシー乗り場に着いたと同時にケータイが震えた。
無機質な画面に表示される、智くんが知らない男の名前。
『…はい、Aです。』
飲み明かしたのか、
ほとんどろれつの回っていないしゃがれ声がスピーカー越しに響く。
眉をしかめて、でも声色には出さないようにしながら
適当に返事を繰り返して。
『えぇ、いつも通り、自宅に居ましたよ。』
軽く、目を伏せる。
向こう側からはがやがやテレビの喧騒と、それに合わせて汚い笑い声。
ひとしきり笑って、こっちの気分を悪くして、それからようやく
“はぁ、そうかい”
…これだけだ。
生返事するくらいなら聞かなきゃいいのに。
で、結局数秒後にはまたテレビに夢中になっちゃって。
あー、もう何もかも嫌になってきたな。
今すぐ全部を投げ出しちゃいたいぐらい。
再度、色の無い返事を繰り返して、
やってきたタクシーに乗り込みながら、私はこう付け足した。
『もちろん、分かっています。
今日は式の会場を見に行く日でしたよね。』
相手のご満悦そうな声を最後に耳からケータイを離す。
タクシーのドアが閉まる音。
閑静な住宅街にエンジンの音が響き、
ゆっくりと建物が小さくなり始める。
きっと、ここに帰ってくることは2度とないだろう。
彼にも、もう会うことなんてないだろう。
本当に、赤の他人になってしまった。
今度はちゃんと、動かない理由付きで。
沈黙を乗せた車は、徐々にそのスピードを上げていく。
隠していた指輪を左手の薬指にはめてわたしは
『さようなら、本当に愛いていた人。』
心の中で、静かに呟いた。
【stay...】
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おから(プロフ) - raaaaaaamさん» お久しぶりです！こちらにもコメントしていただけて嬉しいです(^^)。今回のは受け入れてもらえるか不安だったので安心しました！笑。はい、本編の方、更新頑張りますね、ありがとうございます！！ (2016年5月21日 6時) (
レス) id: 6b8f447e34 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - おからさんお久しぶりです！(^-^) 今回はちょっと違った神ちゃんが見れてドキドキしました♪♪ これからもファイトです(><) (2016年5月21日 0時) (レス) id: 002059b0c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おから
| 作成日時：2016年5月19日 12時
