サクラと、羽と、 5 (ページ6)

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Episode200 ページ6

「…お母さん言ってた。ごめんね、って、…何回も、頭から血を流しながら、ごめんね、潤って。…お父さんは、酔いつぶれて眠って、…その間にお母さんは、出ていったんだ…ひとりで」

そこまで言うと、潤は少しの間黙り、眉を下げて微笑んだ。

「どうして、潤はお母さんと行かなかったんだ…？」

その問いに対して潤は寂しそうに笑ったまま小さく返す。

「だって、お父さん…ひとりになっちゃう。……お母さんには、男の人がいたの。…でも、……お父さんには、…俺しかいなかった」

「潤…」

「それにさ、…出てったらもう、…けほっ、……しょおくんにも、…会えなくなっちゃう」

その言葉に思わず背中からそっと抱き締めれば、潤が静かに俺の腕にぎゅっと抱き着く。

「…潤のこと、…俺、絶対離さないから…」

小さく呟けば、「ありがとう」という声と共に、俺に抱きつく力が強まるのを感じた。