サクラと、羽と、 5 (ページ44)

今日:1 hit、昨日:34 hit、合計:2,926 hit

Episode238 ページ44

それからも、潤は家でのことを俺に話すことはなかった。

俺が聞き出そうとしても誤魔化されてばかりで、何も話そうとはしない。

だから俺も、無理に吐き出させようとしなくなった。

そのかわり、なるべくそばに居るように心がけていた。

でも本当は、それだけじゃだめだったんだ。

俺がそばにいる、なんて、それだけのことでしかなくて。

根本的な問題は何一つ解決なんてしていなかった。

だけどこのときの俺にそんなことは分からなかったんだ。

少しずつ時間は経過して、季節は秋を迎えた。

今日は文化祭。

3年は受験もあるから基本まわる側で、出店や出し物は1年と2年で行う。

部活に入ってるやつは基本部活の集まりで出店したりもあるけど。

サッカー部は毎年焼きそばを売っていた。

今年も例年通り焼きそば。

友人と立ち寄れば、丁度店に潤が立っているタイミングだった。