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Daisuke







少しして戻ってきた蓮の表情は晴れやか。




でもやっぱり原君の前では堪えてたのか、



助手席座って一息ついた瞬間、こっちを向いた目にはきらきら涙が溜まっていた。






「何か嫌なことあった?会わなきゃ良かった??」





それだけ聞いたら首取れそうな位横にぶんぶんして否定してきたけど、みるみる内に大粒の涙が溢れていって、




珍しく蓮の方から抱きついてきた。






蓮「俺さ、ちゃんと言えたよ。原に。おめでとうって。頑張れってちゃんと言えた。」




「そっか、ちゃんと言えたんだね。偉かったね。」






妬み嫉みも全部乗り越えて、誰かの頑張りを真摯に讃えるって、



正直大人でも中々出来ることじゃない。




泣く程真剣に向き合った夢なら、特に。




それでも原君にちゃんと泣かずに言い切ったまだ高校生の蓮は、本当にすごいと思う。



家族の前では子供みたいにわんわん泣いて感情発散しても、


原君のことはちゃんと応援した。




まだまだ未練だってたくさんあるはずなのに、相手の夢が叶うことを喜べるのは、



きっと蓮もそこまでいく凄さ、大変さを知ってるから。




その日を境にちゃんと自分でけじめをつけて、原君のことを全力で応援出来るようになって、連絡も頻繁にとって、



かつての戦友から、親友になった二人。



蓮もしっかり、前を向いて歩き出していた。








.








蓮「俺、リハビリの先生になりたい。」




あれから少ししたタイミングであった進路相談。




それに向けて辰哉と三人で話してた時、初めて聞いた夢。




前まで何となく適当に〜って感じだったのに急に言い放ったから二人して凄いびっくりしたけど、



それは大きな挫折を味わった蓮が見つけた、ずっと目指してきたこととは違うもう一つの生きる道だった。






蓮「原もそうだし、俺もやっぱスポーツとかサッカーに関わる仕事がしたい。それに義足だから分かることもあるかなって。」





ちゃんと自分と向き合って見つけた新たな夢に、隣の辰哉は勉強頑張れよって言いながら既に号泣寸前。



でも形は違えど、サッカーに関わる仕事を選んで前に進めたのは本当にすごいこと。





小さい頃から一緒に見続けた蓮と原君の夢が、



一度分かれ道を辿っても大人になって又どこかで交わる。



そう遠くない未来に、そんな景色が見えた気がした。















fin.

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作者名:りる | 作成日時:2022年3月15日 0時

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