Snow brothers. (ページ35)

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Shota

ほんとは退院予定だった今日。

何か心臓の動きが良くないとか言われて、もうちょっと薬落とすから入院延ばすって。

予定通りに退院出来ないことはよくあるけど、

明日は蓮の試合だったから、行きたかった。

阿部にも何とか行けないって聞いたけど、即答でダメだよって。

そんなに調子悪いって自覚は無いんだけど、心臓はいつも以上にちゃんと動いてないみたい。

いつ心不全起こすか分かんないんだからって阿部には若干怒られたけど、

そんなの元からじゃんって心の中で反抗。

生まれつき幾つもの長くて難しい病名を抱えたポンコツな心臓は、

いつ止まってもおかしくないってずっと言われ続けてる。

現に今までも何回か止まったり痙攣したりして死にかけて。

何度も危ない状態になって、今生きてるのが奇跡だって位。

でもだからこそ、多少無理して怒られても今やりたいことやりたいじゃん。

いつ死ぬか分かんないんだから絶対やらずに後悔したくない。

先生の言う事聞かなきゃ結局後で苦しくなるんだって頭では分かってるけど、

蓮の初レギュラーだって明日しかないし。

昨日大丈夫って言ってはくれたけど、明らかに落ち込ませちゃったから、

悪い事したなって。

俺の体の事もあって末っ子なのに我慢ばっかさせて来たし、

たまには兄貴らしい事してあげたかった。

だから今日こっそり連絡して、もっかい呼び出したんだよね。

やばそうだったら辞めるけど、何とかなるでしょ。

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蓮「えっ、ほんとに言ってるそれ。」

「大丈夫、ちゃんと気を付けるから。自分の事は自分が一番分かってる。」

蓮にこっそり作戦伝えたら、超びっくりしてほんとに大丈夫って。

でもちょっと嬉しそうだったから、俺も嬉しかった。

蓮「えっじゃあ絶対ね。無理はして欲しく無いけど協力する。約束だから。」

しっかり加担してくる辺りはさすが俺の弟。

何だかんだ体は蓮の方が大きいけど可愛い末っ子だなって思いながら、

笑顔で伸ばしてきた手に小指を絡めて、男同士の秘密の約束。

何だか嬉しくて、楽しかった。

この時はまだ、これが後で俺の体も蓮の心も苦しめるなんて、

全く気付かなかったから。