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Hikaru
救急車はすぐに来てくれて、
翔太と付き添いの辰哉を乗せて病院に行った。
荷物は大介が準備してくれるみたいだから、
俺の役目は残った片割れを宥める事。
不安な気持ちも痛い程分かるし、一緒に行きたかったんだろうけど、
涼太は涼太でプチパニックなってたからついていかせる訳にも行かず。
取り合えず家に入れて、ソファ座らせてホットミルク入れてあげた。
勿論俺だって翔太のことは心配だし、最悪を考えない訳じゃ無いけど、
何度も危険な状態から持ち直してくれた翔太の強さを知ってるし、
今すぐ俺達が治せるものじゃないから、出来るのは信じて待ってること位。
翔太が笑顔で帰って来られる日まで、
目の前の涼太を少しでも支えてあげること位しか出来ないんだ。
.
「…どう?落ち着いた??」
涼「……ん。大丈夫、ごめん…。」
「何で謝んの、涼太のせいじゃないって。」
涼「全然気づけなかったから…。
俺のせいで、翔太あんなにっ…。」
涼太のせいじゃないから気にすんなって言っても、
どうしても気にしちゃって、涼太まで落ち込んじゃうのは仕方がないこと。
どうあがいても出来ないことはしょうがないし、
耳が悪いのだって、涼太のせいじゃない。
でも少しの遅れが命取りになる翔太にとって、今回のことは相当危険で、
朝まで気づかなかったら最悪あのまま心停止してた可能性だって十分にある。
涼太も多分それが分かってるから、誰よりも責任感じて落ち込んじゃうんだよな…。
ちゃんと対策してなかった俺らが悪いんだけどね。
今どれだけ言っても涼太が気にしちゃうのはどうしようもないから、
あんまり下手なことは言い過ぎず。
少しは心が休まる様に、あったかい飲み物一緒に飲みながら、
付き添った辰哉からの連絡を待った。
.
「良かった、翔太もう大丈夫だって。」
運ばれてから1時間しない位。
思っていたより早く待ち望んでいた連絡が入って一安心。
直ぐに夜勤だった先生に診て貰えて、
暫く入院にはなるけど、状態は落ちついてくれたみたい。
涼太も安心したら張り詰めた糸が切れたみたいに穏やかな顔になって、
良かったぁってなったら急に眠そうに。
普段はクールなのにこういう時は弟ぽくって可愛いななんて、
そう思えるぐらいにはお互い心に余裕が戻った。
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作者名:りる | 作成日時:2021年7月11日 19時