Snow brothers. (ページ4)

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Ryota

スッと和室の扉を開けると…

シューって聞こえてくる酸素の音。

具合悪くなっちゃったかな?

いつもより若干青白い顔色で眠っている片割れ。

酸素に助けられながら一生懸命胸を上下させてる姿を見るのは少し怖いけど、

今日もちゃんと生きてるって安心もする。

生まれつき心臓に爆弾を抱えている翔太。

今まで何回もの大きな発作を乗り越えて、今日も生きてくれている。

常に心不全や不整脈のリスクを抱えているし、

発作で体調を崩すことは日常茶飯事。

まともに学校に通うことも、入退院を繰り替えす翔太にとっては簡単なことじゃなくて…

去年はどうしても出席日数が足りなくて、一緒に卒業することは出来なかった。

今は調子の良い日は末っ子の蓮と一緒に高校通って、2回目の高校三年生。

ただ最近は先週の風邪を引きずっているらしく、中々行けない毎日が続いている。

昨日も一日動けなかったみたいで、そのまま寝てたみたい。

体調が良くない時はリビングのすぐ隣の和室にいることが多い翔太。

階段を登ることも、心臓には負担になるからね。

そんな翔太を多分夜通しで看病してくれていたのが、

隣に布団敷いて寝てる一家の大黒柱の辰兄。

皆がお世話になることも多い病院で医師として働いている。

翔太のこともあるから、医者が家にいるのはすごく心強くて毎日の体調チェックもしてくれてる。

「辰兄、起きて朝だから。」

辰「んぅ……誰？涼太ぁ？」

朝はすんごいふにゃふにゃしてる辰兄。

実はかなり目が悪くて、至近距離でも眼鏡をかけないと殆ど見えていないらしい。

だから朝一で起こしに来たのが誰か分からないんだよね。

眼鏡かコンタクトさえしてれば、日常生活も仕事も何とか支障なくこなせるみたいだけど。

「涼太だよ。翔太も起こす？」

辰「…ん。良いよ、様子見て起こすから。照今日いるんだよね??」

「うん、大学休みって。翔太大丈夫？」

辰「夜中ちょっとしんどそうだったね。学校は休ませるし、様子見て病院連れてくから大丈夫だよ。」

「ありがと。ご飯置いとくから。」

俺らのやり取りを横にしても、起きる気配のない片割れの頭をそっと撫でて部屋を出る。

翔太のことは勿論心配だけど俺にも仕事があるから、ここは辰兄に任せることにした。