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Ren






辰「翔太〜蓮来たよ。」






病室行ったらたまたま休みだったみたいで、大介君も照君も涼太君もそろってた。





辰「ほら、顔見せてあげて。」




車椅子ベッドのとこまで押してもらって、兄ちゃん達も場所を空けてくれる。





翔太君はやっぱり体調悪そうで、起きてるのか起きていないのか。



んーって返事も曖昧で、いつも白い顔が赤くなってるから熱出てるって一目で分かった。





翔「ん、……蓮?」




「うん、来たよ。」





苦しそうだけど、ゆっくり目開けて、声かけてくれる翔太君。




細い腕がこっちに伸びてきて宙を舞う。





涼太君に手握ってあげてって言われて、伸ばしてきた手を握ったら、



翔太君の顔が少し緩んだ気がして、ちょっと安心してくれたのかなって。






翔「…、良かった。心配、してたから。生きてて良かった。」






酸素マスクの下で一生懸命口動かして伝えてきてくれる。




自分の方が絶対辛いはずなのに、俺の事心配してくれてた翔太君。






翔「生きてれば、大丈夫。何とかなる。良かった、ほんとに。」





生きてれば何とかなるからって、目の前で病気と闘ってる翔太君に言われると、




少しでも死なせてくれればって思っちゃった自分がすごい嫌いになりそう。



それでもやっぱり元に戻れない現実は苦しくて、これからの人生不安ばっかで、




俺、ほんとに大丈夫かな。









辰「蓮、ほんとに生きててくれて良かった。


翔太の事蓮が心配なのと同じで、兄ちゃん達皆蓮のこと本気で心配だったの。


今は不安だし辛いと思うけど、生きててくれれば皆いくらでも支えられるから。


蓮の事が大事な俺達の為に、絶対生きてて欲しい。蓮なら大丈夫だから。」






兄ちゃん達に心配も迷惑もかけてるのは分かってたけど、



気持ちの整理がつかなくて突き放してばっか。




そんな俺でも、生きててくれて良かったって言ってくれる家族がいる。



改めて言われるとすっごい嬉しかった。




不安なのも恐いのも全部見透かされたみたいな兄ちゃんの言葉に静かに頷いてくれる皆と、



今も生きる為に頑張ってる翔太君。





兄ちゃん達の為なら、生きてるだけで喜んでくれるなら、



もう少し頑張れるかもしれないって。




事故の後初めてほんの少し、明るい気持ちになれて、



何の涙か分かんないけど、気づいたらたくさん泣いてた。

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作者名:りる | 作成日時:2021年7月11日 19時

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