Snow brothers. (ページ41)

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Ryohei

ふっかに教えて貰った会場の体育館までは、タクシーで15分位。

本当にここに居るか分からないし、居るとしたらどうやって来たのかって感じだけど、

可能性としてはかなり高い気がしてる。

誰も応援行けない蓮君の為に無理して抜け出すって、正直翔太ならやりかねないからね。

早く見つかって欲しいと思う反面、こんな人多いとこには居て欲しくないなって思いながら、

小走りで入口のドアを引いた。

.

入った瞬間、観客席の方に人がザワザワ集まってるのが見えて、

何かあったのかな?って呑気に考えてたのも束の間。

人混みの方から聞こえてくる、翔太君!って泣き叫ぶ声。

一瞬で背筋が凍って、とにかく人の集まってる方に全力疾走で向かった。

「っ翔太、翔太分かる?聞こえる??」

人混みの真ん中で胸を抑えて倒れていた翔太は、

呼吸するのに精一杯で、返事も反応もない。

急いで引っ掴んで来た聴診器を胸に当てると伝わってくる、あり得ない程早い心拍。

心臓発作だ。

体は限界なのに心臓だけが全力疾走してる様なものだから、苦しいに決まってる。

救急車はもう呼んでくれたみたいで、もうすぐ着くみたいだけど、

既に心停止寸前の危なすぎる状態。

蓮君にとにかく翔太君助けてって言われたけど、

病院じゃないこの場所でしてあげられることなんか殆ど無くて。

どんどん悪化していく状態に、やばいやばいって焦りまくってただけ。

救急車が来る直前、限界を迎えた翔太の体からぐたっと力が抜けて、

聞こえなくなる荒かった呼吸音。

「っ心停止!AED持ってきて下さい!!早く!!!!」

一瞬ひるんだけど、ここで動かなかったら最悪なことになるって思って、

無我夢中で周りの人に叫んで、翔太の左胸を強く押し込む。

「翔太しんどいけど頑張るよ、大丈夫だから。

皆いるから戻って来て!」

外で心肺停止なんて大丈夫な訳無いけど、

喋って無いと俺の方が落ち着かなくて、声をかけ続ける。

もしこのまま蘇生出来なかったら、

連れ出した蓮君だってきっと一生後悔するし、ふっかも兄弟皆も絶対悲しむって。

翔太だってそんなの絶対嫌でしょ?

まだやりたいこと一杯あるだろうし、治療だって頑張ってきたじゃん。

こんなことで命落とすのは勿体無さ過ぎて、

何とか生きてふっか達ともう一回会えるように。

必死に胸骨圧迫を続けた。