Snow brothers. (ページ12)

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Tatuya

何とか合格して医学部入って勉強して、ぶち当たったのは辛い現実。

翔太の病気は、現代の医療じゃ治せない。

前々から何となく分かってはいたけど、改めて分かった時はやっぱり苦しかった。

出来るのは薬や制限で出来る限りリスクを減らすこと。

それでも避けきれない発作にはその都度対応するしかないけど、翔太はその度に苦しんで、

命の危機に陥ることも少なくない。

そんな中で18年も生きてくれてるって本当に凄いことで、

弱っちく見えるけど、誰よりも強い生命力を持ってるなって。

医者になって思い知らされた現実は辛かったし、

苦しんでる翔太を見ると無力感を味わうことも未だにある。

それでも翔太はいつも精一杯生きようとしてくれてるから、俺も出来るだけ支えてあげようって。

そう思ってきた。

ほんとは微妙なラインだけどふっかがいるならって阿部ちゃんが退院許してくれて、家が大好きな翔太が少しでも早く帰って来れたり、

家での大きな発作で危なくなった時に、初期対応が早かったから助かったって言われたり、

そういう事がある度、医者になって本当に良かったなって。

勿論翔太以外の弟達のことも、治してはあげられなくても、少しでも医者として支えてあげることは出来るから、

多少は守れるようになったかな何て思えたりして。

やっぱり頑張ってこの道に進んで良かったって弟達が感じさせてくれる毎日は、

大変だけど幸せだから、この時間が少しでも長く続けば良いなって思ってる。

.

一日働いて退勤前。

様子見に病室行ったら、机に枕乗っけてボーっとしてる翔太。

しんどい？って聞いたら、朝よりはって首振ってくれた。

翔「…兄ぃ、朝、ありがと。」

俺ほぼ何にもしてないけどなーって思ったけど、

いつもより弱って素直になってる翔太はやっぱり可愛い弟で。

生きててくれて良かったって心から思う。

「ん。阿部ちゃん達が頑張ってくれたからね。翔太もよく頑張った。」

まだ少しポヤっとしてたから、ゆっくり休みなって言ったら、

すぐに目が閉じて、又夢の中へ。

．

翔太なら、絶対大丈夫だから。

阿部ちゃん達が一生懸命助けてくれるし、俺も皆も翔太の帰りを待ってるからね。

皆支えてくれるから、又家に戻れるまでもうちょっと頑張れって。

心の中で話しかけて、弟達の待つ家に一足先に帰った。