青桜が咲いた頃 ページ1
Ryohei
駅からすぐの大学病院。
照「はいオッケー、もうほぼ大丈夫だね。」
今はもう半年に一回位しか行かなくなったこの場所は、
ちょっと特別な友達と出会って、お別れをした場所。
何となく中庭に寄ったら、花が散って葉が出始めた桜、
青桜が綺麗に風に舞っていた。
これはそんな桜の季節の、
ずっとずっと忘れられない10年前のお話し。
.
元々少し疾患のあった俺の心臓。
ずっと薬だけで様子を見てたけど、段々成長に追い付かなくなってきて、
高校生の時、春休みに手術することになった。
照「はい病室ここね、隣今ちょっと寝てるけど……でも起きたら話してみて。亮平が来るの楽しみにしてたから。」
大人の病棟だし同世代の子なんていないと思ってたのに、
隣のベッドにいたのは同い年の翔太。
翔「あっ隣来た!俺案内するよ!!」
起きるなりいきなり翔太は俺の手を引いて、
病室の外に連れ出してくれた。
翔「自販機ここで〜コンビニはこの下!
中庭降りるには奥のエレベーターの方が良いよ、涼太に見つかると怒られるから。」
阿「涼太?」
翔「うん!俺の先生!多分阿部ちゃんも会うんじゃない?」
色んな場所教えてくれて、先生とも友達みたいで、
フレンドリーに一杯話しかけてくれた翔太。
翔「あっやべ…涼太………」
涼「翔太?寒いから外だめだって、病室戻りなさい。」
翔「案内してたの!阿部ちゃん来たから!」
外来でたまに見かけた無口な宮舘先生が、涼太!って翔太に呼ばれてるのはびっくりしたけど、
それ位距離が近くて名前も似てる二人。
涼「亮平君ね、照になんか言われてなかったら大丈夫だけど…翔太は調子乗らない。又具合悪くなるよ。」
翔「すぐ戻るから!たまには良いじゃん涼太心配しすぎ!!せっかく来たのに……」
涼「お部屋で喋りな。楽しいのは分かるけど……でも友達出来たの?良かったじゃん。」
翔「うん!二人部屋だし良い奴で良かった!!」
翔太の扱いにすっかり慣れた先生に宣言して、
いつの間にか俺達が友達になっていた、そんな平和な日。
翔太と出会ったこの日にはもう、
まだ冷たい空気の中で、桜は蕾をつけ始めていた。
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作者名：りる | 作成日時：2022年11月27日 21時
