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Tatsuya
辰「翔太、何やりたい?何でも言って。」
翔「良いの?何でも??」
辰「うん、何でも。今まで一杯頑張ったからさ。」
翔太が望んでたことは、いくら食べたい、学校行きたい、友達と一緒に遊びに行きたいって、
そこまで特別なことじゃないこと。
でも全部入院中は出来なかったことだからきっと、
翔太にとっては本当に楽しみにしてたことなんだよね。
辰「分かった。全部準備するからね。」
早速いくらは大介に頼んで買ってきて貰って、その日の夕飯は皆でいくら丼。
念願のいくら、うわっ!って目輝かせて喜んでたし、
海鮮大好きな蓮もお箸上手になってるし超にっこにこ。
前皆で食べてた頃は保育園生で食べ溢し酷かったのに、
蓮もしっかり大きくなってるの見て、俺も嬉しかった。
辰「学校は今週一杯は休憩しよ。お友達と遊ぶのももう少しだけ我慢して、来週になったら又考えよ。」
阿部ちゃんから最初の一週間は家で様子を見る様に言われていたからそこまでは少し休憩したけど、
次の週には先生と相談して、まずは車で行って午後の少しの時間だけ中学に行き始めた翔太。
入学してすぐ、一年生のほんの少しの間しか通えてなかった涼太と同じ地元の中学だけど、
先生方はいつでも戻って来られる様にって、ずっと翔太の席を残してくれてたんだ。
家に帰って来てから抗がん剤の副作用が無くなったことで翔太も一時的に前より元気になって、
又一週間もすれば、車じゃなくて涼太と二人で歩いて行きたいって言い出して二人で行く様に。
部屋だって前と同じが良いって言うから、階段昇った双子の部屋に戻して、
体力戻るまではここで休憩!って名目で下の階に置いてたリクライニングベッドは早々にちび達の遊び場になった。
お友達ともマスク絶対するって条件付きだけど遊びに行くようにもなって、
一瞬本当に病気治ったんじゃないかなって思う位。
無菌室で離れ離れの頃は会えるまで治療期間がとてつもなく長く感じてたのに、
正反対に家の中に笑い声が響いてる楽しい時間は本当に一瞬で過ぎていって、気付けば12月。
阿部ちゃんから告げられた翔太のタイムリミットは後もう一ヶ月を切っていたけれど、
でもそこにいた翔太はそんなこと微塵も感じさせない普通の中学生だった。
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作者名:りる | 作成日時:2022年11月27日 21時