dear for you. (ページ13)

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Hikaru

目「点滴急いで…挿管も一応準備して下さい。」

さっきの穏やかな時間とは打って変わって、病室では人がばたばた動いてて、

その真ん中でくたりと目を閉じた翔太は完全に血の気が引いてて顔真っ青。

繋がるモニターの波形は浅くてゆっくりで、かなり良くない状態だとすぐに分かった。

目「透析中に急に意識失って急変しました。酸素下がって血圧も落ちてきて…ショックバイタル改善しません……」

そっと握った翔太の手は熱あるはずなのに冷たくてもしかしたらこのまま…なんて最悪なことが一瞬頭をよぎって、

少しでもあったかくなるようにぎゅっと握り返す。

照「翔太負けんな!しっかりしろ!」

中々上がらない血圧に病室は緊張感びんびんで、

つい握った手に力が入って熱を帯びる。

涼「ひーにぃ…!翔太どう?」

辰「翔太分かる～?にいちゃん達皆いるからな。もう大丈夫だから頑張って。」

兄貴も涼太も仕事中だったけど急いで病室まで駆けつけてきて翔太の手握って皆で声かけて、

その傍らで目黒達がバタバタ診察したり薬入れたり、何とかしようと必死に動いてくれている。

目「昇圧剤もう一段追加して、B型輸血も急ぎで。」

良くない状態が続いていたけど、一杯一杯入れて貰った薬を取り込んで､何とか頑張った翔太。

三人で声かけながら握っていた手が少し反応あったのとほぼ同時に、

呼吸器で送られた酸素に明らかにさっきより胸がふわっと上がって自力でしっかり息し始めたのが分かった。

目「呼吸戻ってきました!脈もしっかりしてきてます。血圧も下げ止まりなのでこのまま酸素マスクで様子見で。」

何とか少しでも落ち着いた状態に、まだ油断は出来ないけど良かったぁってどっと安心した空気。

目「まだ検査しないとですけど…多分悪化してるぽくて…」

照「そうだよね…まぁ取り合えず良かった。ありがと。」

恐らく腎機能低下に伴っての循環不全。

どうしても他の臓器にも負担がかかっちゃって、こうなることは十分考えられて、

心のどこかでずっと覚悟はしなきゃと思ってはいた。

でもこれからも長い闘いになるかもしれないけど、

一つ一つ乗り越えていくしかないから、今頑張ってくれた翔太には本当に感謝しかない。

ふと窓の外を見ると外はイルミネーションで一杯で、

ここ数日の体調不良で忘れかけていたことを思い出した。