舞踏会の作戦 (次元) ページ1
もう、疲れた。
「どうか一曲、お相手を」
「あなたのために詩を作りました。
そのかわいい耳に聞かせてください」
「ダンスを、姫」
逃げ出したい気持ちを必死に堪える。
この作戦を失敗に終わらせてはならないという気持ちだけが、
Aをこの場に引き留めていた。
今回、ルパンが目をつけたのは、この舞踏会の開催主が持っているという珍しい宝石だ。
Aもその宝石には少しばかり興味があり、乗り気でいたのだが、
(まさか、アイツと組むことになるとは……)
はぐれてしまった彼の顔を思い浮かべる。
Aの気を引こうとする人だかりのせいで、どこにいるかさえ分からなくなってしまった。
もう、いざという時に頼りにならないんだから。
見つけたら、文句を言わないと気が済まない。
「姫、わたくしに笑顔を……」
一人のにやけた男が、バルコニーまで逃げてきたAの腕を強引につかむ。
しつこいし、うるさい。
思わずひっぱたきそうになったAの腕を、だれかが優しく握った。
「A」
腕をつかんでいた男が、その姿に立ちすくむ。
次元はAを抱き寄せ、その男に、
「俺の女の、エスコート御苦労」
と、言い放った。
男が去ってから、次元はもがいているAを放した。
恨めしげな眼で睨まれる。
「……今までどこ行ってたのよ」
「そりゃ、こっちのセリフだぜ。
次から次へと男どもの目を引きやがって」
主役より人気があるんじゃないのかと、皮肉も忘れない。
「私のせいじゃないもん……」
Aは口をとがらせ、空を見上げた。
次元は自分の腕時計を見た。
作戦決行まで、あと三十分。
微妙な時間である。
ホールの方からは楽しそうな音楽が流れてくる。
次元はAに声をかけた。
「踊るか」
「イヤ」
そっぽを向いたまま即答される。
その様子に、次元はため息をついた。
Aの目線の先をちらりと見ると、深呼吸をする。
そして、バルコニーに膝をつき、そっと手にした指先に唇を押しあてて、
「踊ってもらえますか、お姫さま」
気取りすぎたその口調にAは呆然とし、そして吹き出した。
「似合わない」
「違ェねぇ……で、踊るのか？」
「少しだけね、王子サマ」
Aがそう言うと、次元はほっとしたように立ち上がる。
そして、ぐいっとAを抱き寄せ、ホールの真ん中まで引っ張って行った。
＿＿＿＿＿＿
初、次元夢です！
次元ってこんな言い方するっけ、と悩みました。
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ゆーたそ(プロフ) - すっごいカッコイイです！ルパンもう少し増えて欲しい！ (2018年12月3日 23時) (
レス) id: 7df32a732a (このIDを非表示/違反報告)
礼 - 惚れたぜルパン様ァ〜 (2015年4月6日 15時) (レス) id: 24bc0e2a7c (このIDを非表示/違反報告)
☆ghost dance☆ - 気になったんですが、銭形警部の形の字が違うのでは……？ (2015年2月3日 15時) (レス) id: edcaa948c8 (このIDを非表示/違反報告)
LongMine(プロフ) - 次元さんがヤバいよ// (2015年2月2日 16時) (レス) id: d84f8ae247 (このIDを非表示/違反報告)
揺楽 - 五エ門格好いいです！リクエストで、五エ門と花見へ行く話を見たいです。 (2015年1月31日 12時) (レス) id: 2bcd23b539 (このIDを非表示/違反報告)
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