其の料理人は唐突に 拾捌【食戟のソーマ】

タ「449話目だ！」 ページ6

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「おっ！連たろ先輩がまた何か持ち出したよ！」

「あれは！」






「サラマンドルだ!!」






「サラマンドル？私サラマンダーなら知ってるけど…」



サラマンドルとは、下からではなく上火で加熱する調理機器の総称。

実際、伝説の蜥蜴であるサラマンダーが名前の由来だ。



「表面に焼き色を付けたり香ばしさをプラスするための物…それを使っているという事は、調理は仕上げに入ったという事だわ」



つまり、先攻は楠。






「完成だ」


審査員の目の前に出された鮭料理は、サーモンピンクに輝いていた。



「名付けて'サーモンのコンフィ・フラム'」


「フラムは、フランス語で炎の意───」











「さぁ…火の芸術を堪能してくれ」


―――


「…お、そうだそうだ！もも先輩も食べてみてよ俺の料理！実はこの皿にはね…あるスイーツを使ったギミックを仕込んである」

ももの所へと皿を運ぶ楠。


「それはももへの挑戦状なの？ももはお菓子にはうるさいよ…！」





……急遽、審査員三名＋ももで品評する事に。









早速ひと口。










「内側は殆ど生と見分けがつかないまろやかさ！それていて外側はサラマンドルによる香ばしさの演出！火の芸術ここにありだ！」



「ま……なかなかだね」


その料理は、審査員だけではなく、ももからも評判のようだ。


「次はこの付け合わせ…見た感じアイスクリームっぽいけど──」





「──甘くない。成程ね…これは砂糖を加えずに作った鮭のアイスクリームだよ…！」






「もしかして、凍結粉砕機ってやつですか？」

楠に尋ねたA。
すると彼は少し驚いた様に見せた。


「ご名答だよ幸平。まさかキミが答えるなんて意外だなぁ」

「何で意外なんですか」

「だってスチコンの正式名称も言えなかったもんなお前」

「……何も返せない」





「ミキサーでペーストして凍らせた鮭を凍結粉砕機にセット…内部のブレードが高速回転しきめ細かいアイスに仕上がるのさ」








「そういう狙いか…！このアイスを食べた後だと優しく火入れされた鮭の温かさが鮮明に際立つ！異なる温度の鮭が舌の上でより存在感を高め合っている！」




「彼は調理中だけでなく、皿の上でも温度と熱を完璧に操ったのだ!!」




楠は、自信ありげにニィっと笑った。









「その通り！」


「温度と火…そして時間！全てが俺の調味料だからな」

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