其の料理人は唐突に 拾伍【食戟のソーマ】

創「389話目だぜ！」 ページ24

「おー！なまえ！ここに居たのか！」

「あれ？竜胆先輩？」


「黒塗りの車が大量に走ってくるから何事かと思って追っかけてきた！何かあったのかよー？」

息を切らしてやって来た竜胆先輩。…待てよ？車が到着したスグあとにこの人来たけど…



ボルトも顔負けじゃない？





「えっと…僕達もよく分からないんですけど、薙切さんのお父さんが来たみたいで…」

私の考えは置いておいて、竜胆先輩は何か思い当たる節があるみたい。


取り敢えず今は、見守ろう。





「ご無沙汰しております、お父さん」

「去れ」




「貴様にこの場所へ立ち入る権利は無い」



話が、全く読めない……



「言った筈だ。2度と薙切を名乗る事は許さんと」

「えりなが持って生まれた『神の舌』をここまで磨き上げたのは僕なのです。僕を追放しようとも血と教育は消え去りはしない」


「儂の最大の失敗だ。あの頃貴様にえりなを任せた事」


あの頃…？
この黒紳士は薙切んが小さい頃に何かしたのかな。


「失敗はお互い様ですな。僕がいれば遠月を今のようにはさせなかった」

「遠月では料理が全て！腕さえあれば誰だろうと伸し上がれる」



「…下らない。'真の美食'を醸成するには下等な学生を持て余しておく事は愚の骨頂」

「それを決めるのは我々では無い」




「遠月の未来を決定するのは、才と力持つ若き料理人達！貴様1人が喚いた所で何も変わらぬ!!」



…この黒紳士、当然だけど単純な人ではないと思う。薙切んの血筋らしいし……

本当に、わざわざこんな事を豪語するためだけにここに来たのかな？




こんなにも、自信満々に？






黒紳士は、何やら一枚の紙を取り出した。


「遠月十傑評議会。席次に応じて学園内での様々な裁量権を握る遠月の最高意思決定機関」

「彼らには、学園総帥と同等か若しくはそれ以上の力が与えられている。例えば」





「十傑メンバーの過半数が望む事は、それはそのまま学園の総意となる──」



ずっと黙っていた竜胆先輩が、くるりと私の方を振り返った。

「なまえならどっちにつく？」


「へ？いや、どっちにつくも何も……話が全然見えないですよ。何喋ってんですかあの人は」


すると竜胆先輩は、期待外れだというように「そっか」と返した。






「お前'も'一瞬で乗ってくるかもと思ったのによー」


「…………も？」


何を、言いたいの？

―――

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