君への恋の贈り物。【短編集】【鬼滅の刃】

続き ページ7

耳を疑った。とでも言いたげな顔をしてる。



そんな訳ないじゃない。善逸さん、とっても耳がいいんだから。



「…な、なんで……？」



弱々しい声の善逸さんを慰めたい。そんな顔にしたかったわけじゃない。



「…貴方に愛想が尽きたからよ。私、花魁なんだから。貴方も客の一人にすぎないの。」



そんな訳ない。善逸さんはほかのお客と違うもの。



みんなみんな、私の「花魁」という肩書目当てだけど、善逸さんは「私」を見てくれる。「私」
とおしゃべりしてくれる。



でも、私も所詮、体を売っている身。




善逸さんの隣に立つには、汚れすぎてしまった。



「じゃあ、そういうことだから。…せ、せいぜい、…っ任務で死なないことね。」



泣いているのがバレないように、足早に部屋を去り、襖をピシャッと閉じる。


へなへなとその場にへたり込み、声を殺して泣いた。



すると襖の奥からゆっくりとした足音が聞こえ、丁度襖の手前で音は途絶えた。



代わりに聞こえたのは、善逸さんの声。




「俺が耳良いの知ってるなら、分かるよね。俺、分かってるよ。Aさんが、嘘ついてるの、分かってるから。」



今までに聞いたことないほどの、優しくって、心があったかくなる声。


「これで、会うの最後ならさ、ちゃんと言ってよ！Aさんの本音で喋ってよ！」



その一言で目が覚めた。



突き放しても、お互い何の得もない。と。



「…私だって…私だって、善逸さんと一緒に居たい…。」


「うん」



私が小さく語るだけで、返事を返してくれる。



「でも、私、とっても汚い。もう、汚れちゃったの。」


「そんなことない！Aさんは綺麗な人だ！」




私は穢れている、と告げると、善逸さんは大声で反論してきた。

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