trouble.35 叫び声の先に。 ページ37
唐突に、其れはやってくる。
「__うわぁあぁあ!!」
脳天まで響く叫び声。
ぽつ、ぽつと冷や汗が額を過ぎ滴り落ちる音。
叫び声に反応したけたたましい足音。
__そして、玄関扉を開ける音。
「どうかしましたか!?」
扉を開けるは、武装探偵社の一員である寝起きの敦と着物の腕部分を捲りあげた鏡花。
二人は他人の部屋にも関わらず、声の主を探し奥へ踏み入る。
「大丈夫ですか___太宰、さん」
一つの部屋に入った敦の目には、布団の上に立っている上半身裸_いや、包帯_の寝起きの太宰が飛び込んで来た。
太宰は驚いた面持ちで敦の方を向く。
「…敦くん…」
ボソボソと何時もの太宰らしくない口振りで何があったのかを話す。
____回想___
武装探偵社の社員達が帰宅し、疎らになった頃。
蓮の歓迎会を無事終える事が出来、自席で寛ぎ始めた太宰は、これからどんな風に蓮をからかってやろうかと愉しげに頬杖をついて考えていた。
「…何笑ってんすか気持ち悪い」
隣でチビチビと珈琲を飲む蓮にズバッと云われる。
恐らく蓮は太宰が何を考えていたのか察したのであろう。鋭い眼差しを太宰に送っている。
「うふふ、何でもないよ蓮君」
「…怪しいんですけど」
あ、そうだ、と手を叩くポーズをとる太宰。
古いとは云わないでおく。
「蓮君、君今日から何処泊まるの?」
蓮が異世界から来た事を察している太宰は、ニヤニヤと嗤いながら問いかける。
「……何処でしょーね…?」
今日の自身の寝床には興味を向けていなかったようだ。
今にもなってあたふたと考え始める。
因みに社員寮はもう一杯である。その事を踏まえて蓮に太宰は問いかけたのだ。
太宰自身が只楽しむ為だけに。
「__あぁ、そうだ、蓮。今日から社員寮に住むと良いぞ」
此処で歓迎会が終わってからも事務仕事をしていた国木田が口を開く。
助け舟のつもりだろうか、と太宰は少し不満そうに口を咎める。
「…ほんとですか、国木田サン」
「でぇーも国木田君!社員寮は一杯じゃあなかったかい?」
太宰は嗤う。
「そう云えばそうだったな」
「……ぇ…」
「_なら今日から太宰の部屋に居候すると良い」
「うふふ、うふふふ…ふ?……国木田君、今なんて?」
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梓(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます!!これからも面白くしていけるよう精進して参ります! (2019年7月21日 17時) (レス) id: 73b249ebe7 (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - とっても面白いです!応援してます! (2019年7月21日 9時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 x他1人 | 作成日時:2019年1月21日 0時