◇ ページ43
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「えっと…まず、ありがとね。きりやん君のおかげで、ちょっと元気出た。」
「…はい。」
「私のことが好きって言ってくれたのも嬉しい。」
「はい。」
「でも、私、きりやん君とは付き合えないよ…。」
「何でですか。俺が子どもだからですか。」
「ううん、そんなこと思ってない。でもね。思ってなくても、きりやん君は18で、私は23になる。」
「年齢なんて俺は関係ないですよ。」
「きりやん君と私が付き合ったら、私はきりやん君の未来を壊しちゃうかもしれない。歳が離れた人と付き合うのは大変なことなんだよ。」
先生は優しく諭すような顔で続ける。
"きりやん君はまだ18歳なんだよ。"
きっと俺のことを思って言ってくれたであろうことはわかる。
でもそれは俺にとって、自分がまだ未熟であるということを痛感させられるだけにすぎなかった。
「5年後、10年後なら良いんですか？」
「それは……。」
先生の顔が僅かに曇る。
俺がもっと早く生まれていたら、こんなどうしようもない壁に阻まれることもなかったのに。
「5年、10年経ったら、それこそ。きりやん君にはもっと大切な人が現れるかも。だから、これからの大切な、大切な人生を、私に囚われて過ごすのは勿体ない。」
「A先生、俺…。」
「それにね、私ときりやん君は、"先生と生徒"なんだよ。さっきは、もう先生じゃないって言ったけど。大人はズルいから、自分の都合の良いことばっかり並べちゃう。先生と生徒、きりやん君ならわかるよね。」
「……。」
「ごめんね、きりやん君…。でも、私にとって大事な元生徒で、幸せになってほしい気持ちは変わらない。私のことを好きになってくれて、本当にありがとう。それだけで頑張れるよ。」
返す言葉がない俺に、A先生は手を伸ばす。
「バイバイ、きりやん君。受験、頑張ってね。」
タイミングを見計らったようにバスが来る。
A先生はバスに乗り込んで、もう一度俺の方を振り返った。
俺は、ただ目線を向けることしかできなかった。
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岡崎にちか(プロフ) - まどかさん» ありがとうございますー！今作も楽しんで頂けたら嬉しいです！！ (2022年3月8日 16時) (
レス) id: d9673fffe2 (このIDを非表示/違反報告)
まどか(プロフ) - 短編集きちゃ〜！！めっちゃ更新楽しみにしてます、これからも頑張ってください！！！ (2022年3月7日 18時) (レス) id: 068cc2a151 (このIDを非表示/違反報告)
岡崎にちか(プロフ) - Bearlさん» ありがとうございます！！頑張ります！ (2022年3月6日 16時) (レス) id: d9673fffe2 (このIDを非表示/違反報告)
Bearl - めっちゃ好きです…！これからも更新頑張ってください！応援しています！ (2022年3月6日 10時) (レス) @page2 id: cd9603c5df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：岡崎にちか | 作成日時：2022年3月5日 23時
