第８話：素でいられる場所 ページ47
至さんに連れてこられ、たどり着いたそこにはカラフルに彩られたイルミネーションの世界が広がっていた。
『わあ…キレイ！』
「丁度この辺りで点灯してるみたいだったから、どうかなと思って。…気に入ってくれた？」
『はい、すごく。…早く行きましょう、至さん！』
さっきまで繋がれた手にドキドキしていたのに、そんなことも忘れて至さんの手を引っ張る。
「はいはい。」
それからあちこち歩き回っていたのだが、途中で至さんが「もう歩けない、MP回復するまで待って」と言ってきたので、ベンチで休憩することにした。
「はあ…。本当つくづく体力のなさを痛感するわ…て、何笑ってるの。」
『ふふ、すいません。つい…。』
いつも外ではエリートで王子様な至さんが、こんなにも弱っているところを初めて見た。
その姿がなんだか少し可愛く見えて、つい口元が緩んでしまった。
「…でも、そうやって自然に笑ってた方がいいよ。」
『…？』
笑うなと怒られると思っていたのに、返ってきたのは意外な言葉だった。
どういうことだろう？と至さんを見つめ返す。
「なんかさ、A見てるといつも気張りっぱなしな感じして。…いつか破たんしそうで心配だったんだよね。」
『えっと…』
ふと、思い返してみる。確かに私は寮に来てから…というより、自然に笑ってたのはいつが最後っだったかな。
「寮にいるときぐらい、もっとリラックスしたら？俺もあの場所は嫌いじゃないし…というか、居心地いいとか思ってるぐらいだし。」
『そう、ですね…。』
まさか至さんに気づかされるなんて。
『でも良くわかりましたね。自分でも気がつかなかった…。』
「―――俺、ずっと見てたから。…Aのこと。」
急に真剣な表情になる至さんに、ドキッとする。
『い、至さん…？』
「最初はガチャ運のために近づいただけだったんだよね。でもいつも取り繕ったような顔をするAを見てたら、なんか昔の自分を見てるようでさ。ほっとけなかった。」
『…。』
「もっと自然体で、素でいてほしいなって。もっとAのいろんな表情を見てみたいなって。…俺の前だけでは、ね？」
至さんの手が、そっと私の頬に添えられた。
「この意味、分かるでしょ？」
『――――!!』
すると至さんは徐々に顔を近づけてきた。
あたふたしている間に、お互いの息がかかりそうなぐらいに距離が縮まっていて、私は思わず目を閉じてしまった――――。
to be continued...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 495人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ささき - とっても良かったです！！！！ (2019年2月23日 4時) (
レス) id: 1e1a117a8f (このIDを非表示/違反報告)
朝霧ゆら(プロフ) - cocoさん» 全然大丈夫ですよ！！更新ふぁいとです(*^^*) (2017年9月6日 16時) (レス) id: f272f35116 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - 朝霧ゆらさん» すいません！まだ返信の仕方がよく分かっていなくて、ちゃんと返せていませんでした(TT)前のコメントにも載せましたが、コメントと同時に温かいお言葉本当に嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - ホイップなクリームさん» わあああとても嬉しいです(TT)真澄くん、至さん推しなので今回2人の話を作ってみました！更新遅くなるかもですが頑張ります！これからもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
ホイップなクリーム - 真澄君推しの私には…ホント俺得です///至さんも好きなので最っ高です！！これからも更新頑張ってくださいヽ(*´∀｀)ノ応援してます(｀・ω・´) (2017年9月6日 3時) (レス) id: 9fe09aed16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：coco | 作成日時：2017年7月20日 23時
