第１２話：あの日の手は ページ39
『私…真澄くんのこと好きになって、良かった…。本当に、ありがとう。』
精一杯の笑顔で伝えた。
芝居の楽しさを教えてくれて…いつも助けてくれて…。言いたいことはまだたくさんあったが、これ以上は泣いてしまいそうで続けることができなかった。
『…じゃあね。』
「おい、A――！」
返事も聞かずに真澄くんの前から走り去る。
好きな人が名前を呼んでくれて、笑いかけてくれて、一緒に芝居も出来て。
もうそれだけで充分じゃない。隣にいることができなくても、その思い出だけで…。
―――ドンッ
俯いたまま走っていたら、バルコニーから廊下に戻ったすぐのところで人とぶつかってしまった。
『あ、すいませ…て、至さん!?まさか今の話――』
「静かに。…こっち来て。」
そう、ぶつかった相手は至さんだった。
どうしてそんなところにいたのか…聞く前に腕を掴まれ、強引に引っ張られてしまった。
そのまま至さんの部屋に連れ込まれ、ソファーへと座らされる。
『あの…。』
「ほら、おいで。慰めてあげるから。」
そう言って私の隣で大きく手を広げる至さん。
…これって、まさか腕に飛び込めってこと？
『いや、でも…』
「いいから。」
私が遠慮していると、痺れを切らした至さんに手を引かれ、されるがままに抱きしめられた。
ふわりと至さんの匂いに包み込まれる。
『ちょ、至さーーー』
胸を押し返しても、私の頭と背中回された腕はビクともしなかった。
「A、我慢しなくていいから。……俺が全部受け止める。」
耳元で優しく呟かれた。
その言葉を聞いた瞬間、ストッパーが外れたように涙が溢れでた。
至さんの服の裾をギュッと掴む。
私が泣いてる間、その温かくて大きな手でずっと背中をさすってくれた。
『…どうして、ここまでしてくれるんですか。』
数分後。やっと落ち着いてきた私は、至さんの腕から解放してもらい、涙を拭いながら問いかけた。
「なんでだと思う？」
『……分かりません。』
「はは。そのうち分かるよ。」
至さんは笑いながらそう言うと「よしよし」と私の頭を撫でてきた。
『―――!!』
その手の感触にハッとした。
私はこの手を知ってる。倒れてベッドで寝ていたあの日…私の頭を撫でたあの手と、間違いなく一緒だった。
それじゃあ、あの時のキスも――。
『あ、ありがとうございました！！』
部屋を飛び出し、廊下の壁にもたれかかる。
ま、まさか…至さんがーーー。
to be cotinued...
【第４章*冬】第１話：突然の電話→←第１１話：好きになった理由
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ささき - とっても良かったです！！！！ (2019年2月23日 4時) (
レス) id: 1e1a117a8f (このIDを非表示/違反報告)
朝霧ゆら(プロフ) - cocoさん» 全然大丈夫ですよ！！更新ふぁいとです(*^^*) (2017年9月6日 16時) (レス) id: f272f35116 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - 朝霧ゆらさん» すいません！まだ返信の仕方がよく分かっていなくて、ちゃんと返せていませんでした(TT)前のコメントにも載せましたが、コメントと同時に温かいお言葉本当に嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - ホイップなクリームさん» わあああとても嬉しいです(TT)真澄くん、至さん推しなので今回2人の話を作ってみました！更新遅くなるかもですが頑張ります！これからもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
ホイップなクリーム - 真澄君推しの私には…ホント俺得です///至さんも好きなので最っ高です！！これからも更新頑張ってくださいヽ(*´∀｀)ノ応援してます(｀・ω・´) (2017年9月6日 3時) (レス) id: 9fe09aed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：coco | 作成日時：2017年7月20日 23時
