第１１話：好きになった理由 ページ38
「ああ、アンタか…。」
私の声に振り返り、微笑む真澄くん。
前に比べると、笑いかけてくれることが増えたなあ…としみじみ思う。
『珍しいね、真澄くんがここにいるの｡』
「……今日の劇の事、思い出してた。」
柵にもたれかかり、天鵞絨町を眺めながら答えてくれた。
私も隣に立ち、同じようにして町を眺める。
『ありがとう、真澄くん。今日のアドリブも今までの練習も…たくさん助けてもらった。』
「…アンタが一生懸命頑張ってるの分かってたから、力になりたかっただけ。」
『―――！』
…本当に真澄くんはずるい。
そんなことを言われると、まだ自分にも希望はあるんじゃないかと思ってしまうのに。
『…私ね、小さい頃に見たいづみさんの演技に、ずっと憧れてたの。』
「!!…アンタも？」
真澄くんは驚いたように言った。
『アンタも…てことは、真澄くんも？』
「そう。監督がビロードウェイでストリートACTしてたのをたまたま見て…それに一目惚れした。」
『…そう、だったんだね。』
そっか…私と一緒だったんだ。
いづみさんの演技を見て、その芝居を好きになったのも、憧れの存在となったのも…。
「監督の芝居が好きだから、俺も同じように頑張って…。監督のために芝居してきた。」
『うん。』
「でもそれじゃダメだって言われた。…演劇を好きになる、他の理由を見つけてって…。」
真澄くんはそう言って、悲しそうに笑った。
『――ダメじゃない...と思う。』
「え…？」
『だって、私も…』
“真澄くんのために芝居をしたいと思ったからーー”
そう出かけた言葉を、思わず飲み込む。
「⁇なんか言った…？」
『あ、ううん!…真澄くん、本当にいづみさんの事が大好きなんだね。』
「ああ…。俺の世界の色を、変えてくれた人だから。」
芝居をしてみたいと思った理由が、まさか真澄くんと一緒だったなんて。…嬉しいはずなのに、なぜか胸が傷んだ。
��Aも分かってるんじゃない？叶わないって��
いつの日か聞いた至さんの言葉を思い出す。
本当にその通りだ。
憧れのいづみさんに追いつくのも、真澄くんに振り向いてもらうのも…どっちも私には一生無理だ、叶いっこない。
ーーーこの気持ちは今日で終わりにしよう。
そう決心した私は溢れそうになる涙をグッとこらえ、真澄くんの名前を呼ぶ。
『あのね、真澄くん…』
「…何？」
スミレ色の綺麗な瞳をまっすぐに見つめ、口を開いた。
to be cotinued...
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ささき - とっても良かったです！！！！ (2019年2月23日 4時) (
レス) id: 1e1a117a8f (このIDを非表示/違反報告)
朝霧ゆら(プロフ) - cocoさん» 全然大丈夫ですよ！！更新ふぁいとです(*^^*) (2017年9月6日 16時) (レス) id: f272f35116 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - 朝霧ゆらさん» すいません！まだ返信の仕方がよく分かっていなくて、ちゃんと返せていませんでした(TT)前のコメントにも載せましたが、コメントと同時に温かいお言葉本当に嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - ホイップなクリームさん» わあああとても嬉しいです(TT)真澄くん、至さん推しなので今回2人の話を作ってみました！更新遅くなるかもですが頑張ります！これからもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
ホイップなクリーム - 真澄君推しの私には…ホント俺得です///至さんも好きなので最っ高です！！これからも更新頑張ってくださいヽ(*´∀｀)ノ応援してます(｀・ω・´) (2017年9月6日 3時) (レス) id: 9fe09aed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：coco | 作成日時：2017年7月20日 23時
