第７話：夢うつつ ページ34
文化祭当日を３日前に控え、芝居の方もいよいよ最終調整に入っていく。
そんなある日夜の稽古を終え、真澄くんと一緒に居残り練習をしていた。
しかし先程から、体の調子が良くない。頭がガンガンと痛み、目眩もしてきた。
…本番まで時間もない。こんなことで休んでいる場合じゃない。
座り込みたいのをぐっとこらえ、無理矢理練習を続ける。
「おいアンタ…顔色、悪い。」
途中で真澄くんが心配そうに、顔を覗き込んできた。
『あ…昨日夜更かししちゃったせいかな。ごめんね、私は全然大丈夫だから…続けて？』
「でも、少し休んだ方が…」
『ダメ！』
急に大声を出したため頭の痛みがひどくなった。…ダメだ、立っていられない。
『ごめん。でも…もっと練習を、しな、いと…』
そこまで言って私は意識を手放し、床に倒れ込んだ。
最後に聞こえたのは、焦ったように私の名前を呼ぶ真澄くんの声だった…。
――――――――――。
目を覚ますと、見覚えのある天井が目に入った。
さっきまでレッスン室にいたはずが、いつの間にか自室のベッドの上にいた。
「あ、Aちゃん。気がついた？」
声がした方を見ると、そこにはいづみさんがいた。
『いづみさん、私どうして…。』
「居残り練習中に倒れたの。真澄くんがここまで運んで来てくれたんだよ。」
『あ！』
練習がまだ途中だったことを思い出し、飛び起きる。…が、いづみさんに止められてしまった。
「ダメだよAちゃん。今日はこのまま寝て、明日は1日安静にすること。」
『そんな…。』
いづみさんは真剣な表情のまま続けた。
「休むのも大事なことだよ。体壊しちゃったら元も子もないんだから…。ね？私からのお願い。」
『………分かった。』
私は再び横になり、眠りについた―――。
それから何時間か経過し、外は明るくなっていた。
いづみさんの姿がないということは、もうどこかに出かけたのだろう。
ボーとする頭で今の状況を認識してからもう一度目を閉じる。
――すると自室のドアが開き誰かが入ってきた。その足音はだんだんと私の方へ近づいて来る。
『(誰、だろう…)』
意識が朦朧とする中、目を閉じたまま考えていると、その人物はポンポンと頭を撫でてきた。
「いつでも頼ってって、言ったのに…」
そう呟かれた後、｢ちゅ｣と言うリップ音と共におでこに柔らかい感触がした。
『(え…今のって、キス――)』
to be continued...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 495人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ささき - とっても良かったです！！！！ (2019年2月23日 4時) (
レス) id: 1e1a117a8f (このIDを非表示/違反報告)
朝霧ゆら(プロフ) - cocoさん» 全然大丈夫ですよ！！更新ふぁいとです(*^^*) (2017年9月6日 16時) (レス) id: f272f35116 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - 朝霧ゆらさん» すいません！まだ返信の仕方がよく分かっていなくて、ちゃんと返せていませんでした(TT)前のコメントにも載せましたが、コメントと同時に温かいお言葉本当に嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - ホイップなクリームさん» わあああとても嬉しいです(TT)真澄くん、至さん推しなので今回2人の話を作ってみました！更新遅くなるかもですが頑張ります！これからもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
ホイップなクリーム - 真澄君推しの私には…ホント俺得です///至さんも好きなので最っ高です！！これからも更新頑張ってくださいヽ(*´∀｀)ノ応援してます(｀・ω・´) (2017年9月6日 3時) (レス) id: 9fe09aed16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：coco | 作成日時：2017年7月20日 23時
