第9話:半分コ ページ19
『ごめんね、真澄くん。お店の人に勘違いされちゃったみたいで...。』
私なんかが…と申し訳なくなり、すぐに謝った。
「??ああ、別に気にしてない…。」
どうやら先ほどの出来事に、過剰に反応していたのは私だけだったようだ。
真澄くんはというとコロッケを見つめながら、頭にハートマークを浮かべ「俺も、好き。」と言っていた。
あれは多分、いづみさんにコロッケを渡した時のことを想像したんだろうな…とすぐに分かった。
無事に買えたのはよかったものの、本当はいづみさん、真澄くん、私の合計3個を買う予定だったのが、1個足りない状態になってしまった。
しかしここは、私が空気を読むべきだろう。
『はい、これ。後でいづみさんと仲良く食べるんだよ!』
そう言ってコロッケの入った袋を真澄くんへ差し出す。
「え…でも、アンタのは?」
『私は大丈夫。また買いに来ればいいんだし!ほら、持って!』
なかなか受け取ろうとしない真澄くんに、無理矢理袋を握らせた。
『さ、帰ろう。寮に戻って夕飯の支度しなくちゃ。』
そう言って歩き出そうとした瞬間、「待って」と手を引かれた。
なんだろう?と振り返ると、真澄くんは先ほど渡した袋からコロッケを取り出し、半分に分けていた。そしてその片方を、私に差し出してきたのだ。
「今日、教えてくれた礼。半分、アンタにやる。」
『え...。』
突然のことに驚きつつも、流れで受け取ってしまった。
『あ、ありがとう。』
お礼を言うと、真澄くんは微笑んでくれた。
あ、今はちゃんと私に笑ってくれてる。そう思ったらなんだか胸が高鳴った気がした。
帰り道、2人で並んで食べたカレーコロッケは、心に染みてくるような温かくて優しい味がした。
――――その夜。
私と真澄くんは談話室でいづみさんの帰りを待っていた。
時計の針が23時を指そうとしていたその時、ドアがガチャッと開いた。
「ただいま〜!」
「監督、おかえり。」
『おかえりなさい。』
いづみさんは部屋に入るなり、「疲れた〜」と言ってソファーに腰掛けた。
『あ、私歯磨いてこなきゃ。』
今は2人きりにしてあげよう。そう思って廊下に出た。
それからしばらくして、真澄くんが上機嫌な様子で談話室から出てきた。
『真澄くん、どうだった?』
「アンタのおかげで、監督にすごい喜んでもらえた。ありがとう.......A。」
『いえいえ!…て、え?』
今、名前で呼ばれた....?
to be continued...
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ささき - とっても良かったです!!!! (2019年2月23日 4時) (レス) id: 1e1a117a8f (このIDを非表示/違反報告)
朝霧ゆら(プロフ) - cocoさん» 全然大丈夫ですよ!!更新ふぁいとです(*^^*) (2017年9月6日 16時) (レス) id: f272f35116 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - 朝霧ゆらさん» すいません!まだ返信の仕方がよく分かっていなくて、ちゃんと返せていませんでした(TT)前のコメントにも載せましたが、コメントと同時に温かいお言葉本当に嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
coco(プロフ) - ホイップなクリームさん» わあああとても嬉しいです(TT)真澄くん、至さん推しなので今回2人の話を作ってみました!更新遅くなるかもですが頑張ります!これからもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月6日 8時) (レス) id: 1d170c4237 (このIDを非表示/違反報告)
ホイップなクリーム - 真澄君推しの私には…ホント俺得です///至さんも好きなので最っ高です!!これからも更新頑張ってくださいヽ(*´∀`)ノ応援してます(`・ω・´) (2017年9月6日 3時) (レス) id: 9fe09aed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:coco | 作成日時:2017年7月20日 23時