８０その１- 酒は飲んでも呑まれるな編 ページ47
「温泉最高ー！」
あれからホテルに戻り部屋で過ごしやっと回って来た風呂の時間
デカイ温泉は露天で、星が散りばめられた夜空を見ながら浸かることが出来る
癒しってのはこういう事なんだろう
「はぁ…生き返る」
「おっさんみたいだな、Aくん」
「そういうオメーは女か、あ？」
キョトンとした伊藤くんは三橋の方を見る
長い髪を団子にして後ろで括ってまとめている伊藤くんを小馬鹿にして煽る三橋は指差して笑った
…たしかに後ろ姿は完全にお姉さんって感じだけどさ
「仕方ねーだろ、髪がついちまうんだから」
「ダッセーな」
「そういうお前は何持って来てんだよ、餓鬼か」
「いいだろー」
ピューっと水鉄砲を飛ばしながらいう三橋の周りにはアヒルやらが置かれている
子供だ
ぎゃいぎゃいと言い合う2人を他所に夜空を見ながら温泉を堪能する、良い湯だなー
「上がったら珈琲牛乳飲もっかな」
「奢り？」
「んなわけねーだろ、飲むなら払えや」
そんな玩具買う金あったら残しておけ、と言うと顔面を水鉄砲で撃たれた。温泉が目に染みて痛い
タオルで目を覆う俺を鼻で笑うと目を細めて満足そうにする
「あーあ、これで舞妓さんと大文字焼きなんて楽しめたら文句ねーなぁ」
さっき食ったばかりだと言うのにグゥーっと腹の音を鳴らして舌なめずりをする三橋はお腹が空いたと呟く。もしかして…
「三橋、大文字焼きって食いモンじゃない」
「エッ」
「今時外国人でもそんな馬鹿言わねーぞ」
「ジ、ジョークじゃねぇか」
知らなかったんだろうな
そうこうして楽しんでいると竹製の壁を挟んだ向こう側から女子のキャピキャピとした会話が聞こえてきた。合わせるようにしんと静まり返る男湯
俺たち以外にも沢山いると言うのに誰1人として話さない
鼻の下伸ばしてデレデレしてるやつもいる始末だ
「俺サウナ行くわー」
「おー」
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作成日時：2019年10月4日 23時
