７９その２ ページ46
「ねぇねぇこの音羽の滝ってのに行ってみましょうよ！願いが叶うんだって」
「あー、延命水？だっけ」
「無敵になれんのか？」
「飲んだら三つ願いが叶うって言われてんの、願いっつっても"長寿""恋愛""学業"とかその辺やったはず」
「いこーよ！」
「えーあんなにいっぱい並んでんじゃん」
「まぁまぁそう言わずに、な？」
特に叶えたい願いがあるわけでもないが、行かないで突っ立ているよりかは時間を潰すにはいいだろうと大きな欠伸をしている三橋の腕を掴み引っ張る
その後ろをニコニコと楽しそうに笑う赤坂さんがちょこちょこと着いて来ていた
「三橋左側飲んどけ、学問上達だ」
「不死身はねーのか」
「長寿はあるワよ、右側」
「ちなみに一つにしなきゃ御利益ねーらしいからな、気ぃつけろよ」
「ケチくせー神様だな」
「戒めってやつだよ、戒め」
俺は健康的で有りたいからと右の滝を頂いた
今みたいな生活しとったらいつ死んでもおかしくねーからな
未だに悩んでるらしい三橋がうんうんと声を出しているので声をかけようとした時、赤坂さんから伊藤くんの様子を見て来て欲しいと耳打ちされた
どうやら赤坂さんは伊藤くんが京子ちゃんと連絡を取るために消えた事を知っていたらしい
「お願いできる？」
「勿論、すれ違ったら面倒だしバス前で集合しようか」
「わかったワ、三ちゃんと一緒に行くからAちゃんは伊藤ちゃんと居てね」
頷くと赤坂さんは三橋の方へと走って戻る、俺は伊藤くんを探しながら来た道を戻っていると何処からが物凄い音が聞こえた。不思議に思い音の方角へ向かうとそこにはボコボコのケチャケチャになったさっきの他校生と息切れしている伊藤くん
さっきまで綺麗に整っていた髪は所々ボサッとしていて、喧嘩したことは一目瞭然
怪我してねーのが不思議だ
「もう電話終わった？」
「Aくん、これはその…」
「俺は何も見なかった、つーわけで早く戻ろうぜ」
まだ電話していなかったらしく、ちょっと待ってくれと一言言われ待つと胸ポケットから手帳を取り出し電話をかけ始め、暫くイチャイチャして通話を切った。
相変わらずデレデレ戸締りのない顔で話していたな
「お待たせ、それじゃ行こうか」
「おー」
数分後、約束していた通りバス前に着くと既に2人が待っていたらしくえらく長ったらしい小便だったな、とゲラゲラと笑われた
通行人からの視線が痛かった
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作成日時：2019年10月4日 23時
