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「ちくしょー」

座席についた今もまだ怒っている三橋は忙しなく足を動かしながら今井くんへの暴言をブツブツと唱える
隣に座る赤坂さんは少し引き気味に何があったのかと三橋に聞いていた。

「今井のバカが現れたんだヨ」

「紅高も修学旅行らしい」

「あんまり絡んで喧嘩すんじゃねーぞ三橋」

「なんで俺だけなんだよ、Aも喧嘩するかもしんねーだろ!」

「僕は突っ張ってないんでね」

「Aちゃん流石に無理があるワよ」

「えぇウソぉ…」

俺は喧嘩を好んではしないし暴力ごとは嫌いだ
それなのになぜ俺はツッパリだと周りに認識されているのか。確かに軟高に来てからは喧嘩してるけど2人に比べたらそれ程でもないはずだ

「あのバカ次あったら絶対…!」

立ち上がった三橋、の後ろに立つ男が肩を掴かんだ
怒っているのか眉間にシワが寄っている。

「誰がバカだって?」

「今井くん態々来たのか…」

「こんなチャンス2度とねーからな!ほれほれやり返してみろよ」

手も足も出ない三橋の頭を押しながら雑にグリグリガシガシとかき回す今井くんは愉快そうにゲハハと大口を開け笑い鬘をすっぱ抜いた
頭を抑えつけられたせいで椅子に無理やり座らされていた三橋があたふたと手を伸ばし取り返そうとすれば先生を呼ぶ。頭を両手でサッと隠した三橋を指さしダッセーと叫ぶ今井くんは目から涙が出るほど笑っている。卑怯だなー、と眺めていると見兼ねた赤坂さんが今井くんの手首を掴みうっすらと笑みを浮かべた

「今井君、あんまし三ちゃんイジメないであげて」

「はぅっ…」

ピシッなんて音が聞こえそうなほどに動きを止めた今井くんはみるみる顔が青くなる。
顔面蒼白、ショックのあまりフラリと倒れる今井くんを空かさず現れた谷川くんが受け止めて引きずって帰っていった

「可哀想だな…」

「本当にアイツって不憫な奴」

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作成日時:2019年10月4日 23時

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