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「えーうっそー信じらんない！」
「本当に伊藤くんなのー？」
ツンツン髪からの見事なビフォーアフターによって女子達に騒がれる伊藤くんは満更でもないようで何時もの澄ました爽やかさなんて感じられないくらいデレっとした顔で女子に囲まれていた
「なんで伊藤ばっかり…」
「性格の問題だろーね」
「三ちゃん性格がちょっと…ね」
「なんだよ、何が言いてーんだ」
「まぁまぁ落ち着きなヨ」
蚊帳の外にされている俺たち3人は伊藤くんを横目で見ながらさっきから同じような内容の会話を何度か繰り返していた。
伊藤くんがモテるのは何故？優しいから、俺が優しくねーってのか！…みたいなね
無限ループって怖い
「記念に写真撮りましょー！」
「伊藤くん本当イメージ違うワー！」
きゃっきゃっとはしゃぐ女子は伊藤くんとツーショットを撮りながらこっちの方がいいだの何時もの方がかっこいいだの言い合っている。
「でもなんだかオタクみたーい！」
明らかに女ではない声
三橋が裏声で会話に混ざり出したようだ
「言われてみればオタクみたい！」
「それに、変なものとか集めてそー！」
「たしかにー、家で金魚とかマリモ飼ってたりして」
「ぅぐっ…」
命中したのか笑顔がぎこちなくなった伊藤くん
可哀想に
「スケベなパソコン持ってたりしてー！」
「ぐはっ」
そういえば、スケベかは知らないけど伊藤くんの家にパソコンあったな。
三橋の発言全てがヒットした伊藤くんは三橋を怒鳴りながら振り返った。
「三橋ぃ…！」
さっきまでピンピンしてたくせに何故か寝ている三橋は何度も伊藤くんに呼ばれ、ついに揺すられたところで目を開け伸びをした
「あーあーうるせーな、水でも飲んでくっか」
「三橋テメー！」
「はいはい落ち着こうね伊藤くん、深呼吸」
今にも殴りかかりそうな伊藤くんを椅子に座らせる
赤坂さんからはぐっと親指を立てられナイスと言われた。新幹線で喧嘩なんて最悪なこと起こして欲しくないからな
「…はぁ、落ち着いた。ありがとうAくん」
「どーも」
「怒っても仕方ない、それに俺には京ちゃんがいるから怒ることない…」
何やらブツブツと唱え始めた伊藤くんを他所に、俺と赤坂さんでお菓子の交換をしたりどこを観光するかなど話し合う。
中々帰ってこない三橋は一体に何してんだか
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作成日時：2019年10月4日 23時
