６６ -なのに貴方は京都へ行くの！編 ページ30
午前7時、目覚まし時計のアラーム音でスッキリと目覚めた俺は今日はいい日になるだろうといつも以上に気合を入れで学校へと向かっていた。
転校した頃からすっかりと季節は様変わりし、河川敷にはつくしが生え木々も渋い色を纏い始めている
「もうすっかり秋だなー」
秋といえば紅葉か…
関西にいた頃は両親に連れられて清水寺へ紅葉を見に行ったけっな
辺り一面真っ赤に染まった景色は本当に綺麗だった。京都の風景へ懐かしいなーと思いを馳せていると背中にドンっと衝撃を食らう
「Aちゃん、おはよ！」
「はよー三橋」
相変わらず元気だね、タックルなんてしてきやがって。振り解こうにも足まで使ってがっしり引っ付いているため離れやしない
そのままスルスルと背中まで登り肩へ顎が置かれた
「いやー快適快適！」
張り付いて離れない三橋をおんぶの様に運びながら学校へ向かうのは最近始まったことだ
どうやらそういうブームが訪れているらしい。
180超の男を背負うの結構辛いんすけどね
「自分で歩けヨー」
「やーだね」
「ならもうちっと軽くなってくれ」
「なっ…こんなにウツクシー三橋様が太ってるといいてーのか？」
「そうじゃねぇけどよォー」
鞄は持ってくれてるからマシな方だって考える俺はもう毒されているのか？
ケタケタと笑う三橋を落とさない様に背負い直し、ゆったりと歩き出す
最初は重いと騒いでいたのに今じゃ冗談が言えるくらいになっていて慣れというのは恐ろしいものだと改めて思わされる。
通り過ぎる朝練中の運動部を避け、河川敷の橋へ寄ると自生する草木の間に見慣れた黒いトゲトゲが覗いていた。
「何やってんだよイトー！」
ウトウトとしていたらしい伊藤くんは呼ばれたことに気付き一度振り返ったが、また空を見始めた
三橋を下ろしてから階段を降り伊藤くんに近づくと、秋を感じてたんだと笑っていた
「最近秋っぽさ増したよねー」
「そーなんだよ、こう寝転んで空を見るとよォー秋だなって感じだぜ」
「へぇ似合わねーの」
そういいつつも伊藤くんと一緒になって黄昏る
…秋だわ
ボケーっと3人して空を見ているとこちらへ走ってやってくる不良ボーイ。
俺らの名前を呼びながらこの走ってきているので知り合いだろう。振り向くと佐川くんが汗だくで立っていた
「今学校行くのはまずいっす！」
「なんで？」
「佐々木の野郎が…」
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作成日時：2019年10月4日 23時
