55- 三橋が教える編 ページ17
斯くして、連れてこられたのは伊藤くんソックリな男の子。違うところを挙げるなら身長が小さくひょろりとした痩せ型というところだろうか。
(1番は髪型だけどネ…)
オタク、という言葉が似合いそうな髪型は如何にも弱いですという感じだ。叩かれでもしたのか頬は少し腫れ湿布を貼っていた。
イジメられていると聞いたがこれは傷害じゃないか?
頼られたことが嬉しいのか満面の笑みで彼に話しかける三橋は、ふとお前も金持ちなのかと聞き出した。
「いえそんなことは…この家と同じくらいです」
十分金持ちじゃねーか、というのは言わなかった。
何故ならそれを聞いた三橋の顔が変わったからだ。
「この私が見事、強い男にして差し上げましょう」
うん、それでこそ金髪の悪魔
安心したお母様は一階へと戻っていき、部屋は静かになった。
「とりあえず名前聞こう、俺はA。君は?」
「和夫です…」
「和夫くんね、単刀直入に聞くけどなんでイジメられ始めたかとか分かる?キッカケとかさ」
話を聞かないことには何も始まらないため、話題を振るのだが…三橋があまりにも彼の顔をジィーッと見つめるため和夫くんが緊張して涙目になってしまう
「三橋、威嚇するのやめろヨ」
「してねー、登校キョシしとるガキ見ただけだ」
「口悪いなあ、気にしなくて良いからね」
「は、はい」
萎縮しちゃった、俺も怖いんだろうか?
うーん結構優しい男だと自負してるんだけど
「イジメられてる理由とかは…わかんないです」
「ハッキリしろよ、おめー」
ただならない様相でメンチを切った三橋に怯えた和夫くんが泣き出してしまった。
何故そうなるのか、それに怒った伊藤くんが口を出すと一発殴り頼られたのは俺なんだと怒ってしまった。
「いい加減にしろよ!」
「なんだその態度、いいか?お前は弱虫カッパで頼りねーんだ。だから俺がお前の母ちゃんにこのガキを強い男にせいと頼まれたのよ」
そういうと伊藤くんの耳をぎゅーっと引っ張り威張り散らしていた。
それを俺は笑って見ていたのだが、横に座っていた和夫くんは真司兄ちゃんもイジメられているんだと顔を真っ青にしていた。
誤った認識だがぱっと見たらそう見えるので仕方がないな
「俺の教育を黙ってみてろ!」
何度も俺が頼られたんだと誇らしげに笑っている三橋はまるで初めて人に頼られたようで、その喜びに浸っているようだ。
「そんでおめー、何でイジメられんだよ。先生に話してみ」
「ヨワムシだからだと思います…」
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作成日時:2019年10月4日 23時