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「あのね2人とも、俺はこの家じゃ大人しい良い子で通ってんだ」
そろそろボロが出そうだった俺たちを引きずって自室に入った伊藤くんは、早々にとんでもない事を打ち明けた。時々怪我してボロボロ、意外に短気で曲がった事を見たら喧嘩を売る男の何処を見て大人しいと言えるのか
「母さんあの通り根っからオットリした人だからさ、俺が外で不良やってるなんて知ったら卒倒しちまうよ」
「オットリしてるからで気付かないモンなのか？」
「うん」
そ、そうなんだあ…
結構な序盤で疲弊しきっていた俺はもう深く考えることは辞めた、無駄だと悟ったから。
伊藤くんも結構苦労してるのね、と自分を無理やり納得させて頷こうとした
「たあちょォー！」
足を高く振り上げ伊藤くんの顔へ踵落としをした三橋、見事に当たり涙目になった伊藤くんは何をするんだと直ぐに怒ったがそんなもの無視し三橋は問答無用でクロスチョップを決めた。
「痛ってーなテメー！」
「殴りやがったなテメー！」
「被害者ヅラすんなよ！」
「んだとこのガキァー！」
もめ始めた2人は最初はペチペチと叩き合うだけだったが、それが次第にエスカレートしていき殴り合いに発展していった。
巻き添えを食らうのはごめんだと、俺は部屋の隅へ移動させていただく。ドッタンバッタンと煩い部屋に小さなノックの音が混じっていたので慌ててドアを開けると伊藤のお母様がお茶の菓子を持って立っていた。
「どーしたんですか、まさか三橋さんと真司さんで喧嘩を…」
「いやアレは喧嘩と言うか…なんていうか…」
どう見ても喧嘩のこれをどう誤魔化そうかと悩んでいると、伊藤くんが組み合っていた三橋を突き飛ばし母の元へ慌てて駆け寄ってきた
「違いますよ、今のは三橋くんに僕がイジメられそーになった時の対策法を伝授してもらっていたんだ」
良くそんな嘘平気でつけるなあ、と伊藤くんをみるとその後ろに蹲って頭を抑えている三橋が。
流石に怒ったようで親の前なんて関係ない、そんな顔で拳を振り上げた
「最近怪我をしなくなったのもこの2人のオカゲなんだ！」
「まァ、そうなんですか」
「そう、Aくんと三橋くんって強くてすごく頼りになる人なんだ」
強い 頼りになる、その二言で一気に上機嫌になった三橋は頭を書きながら「そうなんですよ、助けてやってます！」と言って笑い出した
「それはそれは、なんとお礼を申したら良いか…どうも本当にありがとうございます」
そういうと膝をつき頭を下げた
こんな奴に頭下げる必要ないと思いますよ、お母様！
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作成日時：2019年10月4日 23時
