41 ページ2
「映画館じゃん」
ついたのは絶賛上映中の映画館だった。
上映最中に中へ入るのは気が引け尻込みしている俺を他所に伊藤くんは入って行った
俺が観客ならキレているだろう。
手持ち無沙汰になった俺は売店でポップコーンとジュースを買い、待合のベンチで予告を見ながら塩の効いたポップコーンを堪能する。
夏に向けての予告だからかホラー映画が多い気がする
今度来た時はどれ見ようかと考えていると三橋達が入った上映室から怒鳴り声やら叫び声やらが聞こえてきた。
主に「そこを退けー!」「見えねーんだよ!」という叫び声だった。
「やーね、映画館なのに騒がしくて」
「さっき変な頭の2人が入って行った所よ、怖いわねぇ」
隣のおばさん二人は怒った風な顔で話している。やっぱり不良はダメなんだと
チラリと俺の髪をみて、更に声を潜め愚痴っている。
オレ関係ナイ
俺の茶髪は地毛だ、赤色は染めてるけどさ
ほどなくして係員に連れられた金髪と申し訳なさそうなツンツン頭がやってきたので、飲み終わったジュースを棄て、残ったポップコーンは袋に入れてもらう。
ポップコーンは三橋に渡した。ちょっと機嫌が良くなったのでいいだろう
「お疲れさん」
「明美ちゃん二股してないってさ」
「ンなわけねーだろ、見たじゃんか」
口いっぱいにポップコーンを詰めた三橋がボロボロ零しながら反論する
きたねーな
「三橋、ハンカチ」
「ない!」
「…使えよ」
(ものすごーく嫌だが)持っていたハンカチで口の周りを拭いた
周りの視線が痛かった
「明美ちゃん本人がしてないって言ったんだろ、今回は迷宮入りってことで終わろーぜ」
「まだやめん!確固たるショーコを見つけるまでは尾行するのじゃ!」
やる気に満ちた三橋は空を見上げ大きく笑っていた、悪魔のような顔で
「他人の幸せに対する執着がすげーな」
「自分には無いものを持ってる人間が許せないんじゃない?」
「世界は俺様を中心に回ってるんだからトーゼンだな」
63人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2019年10月4日 23時