6話 ページ6
「刀解しようなんて考えてないから安心しなよ。君を殺せば一期に嫌われるからね」
彼はこの子にご執心みたいだし。
地雷を踏んで自滅したくない。
「そっか。君も一期が好きなんだ？でも忠告しておくけどこの本丸の一期は君が居た本丸の一期一振じゃないよ」
そう告げると彼女は石の様に固まり声も発さなかった。
僕は小さい僕と視線の高さを合わせる為に膝をつく。
「この本丸に居る一期はどれだけ君が苦しんだのか知らない。どれだけ君を慰めたのか知らない。どれだけ君を好きだったかなんて知らない。同じ刀でも此処にいる一期と君が知る一期には雲泥の差が在るんだよ」
優しい声音で諭すと彼女は大きく頷いた。
どうやら彼女もその事には気付いていたみたいで。
「好きになるななんて言わない。だって君はもう一期の事大好きだもんね？でもね、
「知ってた……一振はいつも君の事しか話さない……」
眉根を寄せて悲しみの声で言う彼女に次の言葉を掛けようとした時。
「何をなさっているんですか！」
一期の怒号が響き、振り返ると凄まじい形相を浮かべる彼が視界に映る。
「一振……！？」
小さい僕もこんな彼を見慣れていないらしく、驚嘆の声を上げる。
一期は小さい僕を抱き上げ此方を睨む。
……初めてだな。そんな目で見られるのは。
「何をしていたんですか？」
「少し話をしていただけだよ。彼女の前居た本丸の話とか」
そう言うと一期はますます目を釣り上がらせた。
「過去の傷をほじくり返すなんて貴女らしからぬ趣味ですね」
「知りたい事が有ったからね」
一期は心底軽蔑したと言った様に僕から顔を背ける。
「ブラック本丸出身の刀達は皆一様に心に深い傷を負ってるんです。自身の好奇心を押し付けないで頂きたい」
厳しい口調で言う彼は矢張り馴れない。
「＿＿＿＿じゃあ、別れる？」
僕がそう切り出すと流石に一期も動揺した。けれど……
「……暫く貴女の顔を見たくないです」
そう言い捨てオロオロする小さい僕を連れてこの場を去った。
理由も聞かずに決め付けるなんて彼らしくないな。
それだけあの子を気に入っていたの？
天井を仰いで涙が零れ落ちそうになるのをなんとか堪える。
此処で泣いたって仕方ない。自業自得の部分もあったのは事実だ。
僕は気分を紛らわせる為に単身で戦場に向かった。
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ちょこクレープ(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます！ (2022年6月16日 22時) (
レス) id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - ちょこクレープさん» 返信遅れてすみません。次にどの刀剣男士にしようか迷っていたので、時間はかかるかもしれませんが書いてみますね。 (2022年6月16日 21時) (レス) id: 3c48936758 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこクレープ(プロフ) - 面白かったです！できれば、燭台切光忠のバージョンもみたいです！ (2022年5月26日 17時) (レス) @page12 id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
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