検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:4,386 hit

5話 ページ5

小さい僕が和菓子に夢中になっているのを見計らって、主の部屋に荷物を届ける。

襖を開きっぱなしにしているので主がすぐに荷物を持った僕に気づく。

「あ、Aわざわざありがとー♡買い物ちょー楽しかったし、また行こうね〜」

「主が付き合ってくれって言うなら、いつでも付き合うよ。僕も楽しかったし」

「そう言ってくれると思ってた♡あとこっちでやっとくから大丈夫よ。それより小さいAはどんな感じ?馴染めそう?」

「燭台切が和菓子を勧めたら、あっという間に懐いたよ」

そう告げると、なぜか主がにやにやと口元に笑みを広げる。

「……なに?」

「いや〜、A同士でみったんの取り合いになるかもしれないな〜って考えたら萌えてきちゃって……♡」

「取り合いって……小さい子ども相手にそんな事しないよ」

「え〜、恋人が他の女にデレデレしてたら嫌じゃない?」

不満そうな表情を作りながらそう言う主だが、そういった感情に疎い僕は首を傾げてしまう。

試しに燭台切と小さい僕が一緒に居るところを想像してみるが、主の言う嫌な感情が湧き上がってくる事はない。

「ま、Aもいつかは体験するかもね」

意味ありげに笑う主の言う事が現実になるなんて、この時の僕はまだ想像すらしていなかった。

主の部屋から戻る途中、大倶利伽羅と鶴丸に出会した。

「捜したぞ」

出会い頭に大倶利伽羅にそう言われ、僕はぱちぱちと目を瞬かせる。

「捜してた?何で?」

「君がいないって小さいAが泣き出してな。今光坊があやしてるんだが早く来てくれ」

鶴丸にせっつかれ、僕らは大広間に急ぐ。

襖を閉じている大広間から泣き声が漏れ聞こえ、慌てて襖を乱暴に開け放つ。

そこで見たのは、燭台切の膝の上で大粒の涙を流している小さい僕。

その周りを短刀たちが囲って慰めている。

燭台切の手袋で包まれた手が小さい僕の頭を撫で、優しく笑いかける。

その光景を見た瞬間、ちりっと胸の奥が焦げついた感覚がした。

(……?)

今の感覚はなんだろうと内心首を傾げていると、襖の前に突っ立っている僕に気付いた小さい僕が駆け寄ってくる。

足元に抱きついて来た小さい僕を抱き上げてやると、ようやく泣き止んだ。

大広間に居た刀剣たちはあからさまにホッとした表情を見せ、なんとなく居心地が悪いと感じた。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←4話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (14 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
318人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:望月海 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年6月26日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。