【刀剣乱舞】子供の自分に嫉妬した【鶴丸国永】 (ページ10)

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10話ページ10

貴方サイド

「嫌い……？驚いたな、俺の何処が嫌いなんだ？」

金の瞳が若干濁りを見せながら鶴丸は問う。

「……小さい僕に、構い過ぎなところ」

やっぱり嫉妬していたのを自分から暴露するのは恥ずかしくて声が小さくなったが鶴丸にはちゃんと届いていた。

「小さい君？ヤキモチか？」

在ろう事か彼はどストレートに言ってきた。僕が隠していたかった気持ちを。

「そういうのも込みで嫌い」

再度嫌いと言うと面白いくらいに真っ白な彼は慌てふためく。

「待ってくれ。小さい君の面倒を見てるのは主がそう命じたからで……」

「でも普通、一月も話さないなんて事、ある？」

「ひ、一月！？」

鶴丸が素っ頓狂な声を上げたのを見て、嫌な予感が過った。

まさかとは思うけど、コイツずっと僕と話してると思ってた……？

僕の視線が底冷えするものに変わって行ってる事に気付いた鶴丸は釈明を始めた。

「違うんだ！小さい君の口調ってやっぱり君に似てるし、一緒に居ると話した気になるんだ。だから、その、君自身と会話をするのを忘れていたというか、既に話した気分になってたんだ」

……我が彼氏の事ながら頭が痛い。

そんなおっちょこちょい、有るだろうか？

いやでも鶴丸なら有り得そう……

僕が疑心に塗れた心でそう判断していると、鶴丸は僕の手を両手で包み込んだ。

顔を上げれば青ざめるくらい真剣な眼差しを浮かべる鶴丸が居て。

彼の瞳を見た瞬間、何が言いたいか分かってしまった。

「本当に済まなかった。決して君を蔑ろにしてたわけじゃない。お詫びと言って良いのか分からないが、君への贖罪の為に俺はなんでもする。君は俺に何をして欲しい？」

何をして欲しいかなんて、最初から決まってる。

僕は人の身を得る前から一つの事しか君に願っていない。

やっと柔らかい笑顔を作る事が出来て、その笑顔を鶴丸に見せながら口を開く。

「＿＿＿＿傍に、居て欲しい。それ以外何も望まないよ」

水を打った様な静けさを纏う雰囲気の中、そう吐露すると鶴丸はくしゃりと顔を歪めた。

「ほんと、君は良く出来た刀だな。最高だぜ」

涙声なのは己の心情を悟らせたくない為か。

「……今はそれだけ。でも若しかしたら、もう少し欲張るかもね」

暗に示唆すると、鶴丸はその白いイメージにぴったりの儚げな笑顔を見せた。

「A、君が好きだ。二度と悲しませたりしないと約束しよう」

僕らは主が教えてくれた、指切りげんまんを交わすのだった。

-fin-