【刀剣乱舞】子供の自分に嫉妬した【鶴丸国永】 (ページ5)

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5話ページ5

貴方サイド

「一か月、か……」

思わずポツリと漏らした言葉を隣に居た乱が不思議そうに訊く。

「一か月って？」

「小さい僕が来たのが丁度それだなって」

答えを聞いた乱は同調する様に頷いた。

「確かに！早いよね～、もう一か月かぁ」

そう、一か月だ。小さい僕が来て、恋仲の鶴丸と喋っていない日数でもある。

流石に変だ。普通一月近くも会話しない恋人が居るか？

お陰で僕はストレスが溜まりまくり、何時爆発しても可笑しくない状態だ。

もう小さい僕だって慣れた筈なのに鶴丸は一向に傍を離れようとしない。

僕の事忘れちゃったのかな。否、小さい僕を相手にしてるんだからそれは無いだろう。

なら本格的に小さい僕を好きになり始めたか。

あの子の方が僕よりずっと素直だし感情表現も豊かだ。好きになっても可笑しくない。

問題なのは、それが世間一般で言う浮気に該当するか否か。

正直言って浮気とは言い難い。だって自分だもの。

鶴丸の本心が知れれば僕だって別れてあげるのに。

そうなるのは辛いけど彼と嫌々付き合うのもお互いしんどいだけだ。

少しでも話せれば良いけど、タイミングすら掴めなくなっていた。

あの二人は何時も一緒にいる。その所為で声が掛けづらい。

そんな二人を見ていたくなくて戦場に逃げるのは悪い癖だ。

でも僕はどうすれば良いのか分からず、今日も戦さ場で憂さを晴らしていた。

残った敵を斬り倒し皆の所に戻る。

戻って来た僕を石切丸が見つめ、進軍するかを検討し始めた。

「石切丸、僕はまだ行ける。進軍してくれて構わない」

そう言ったが石切丸は強く否定した。

「駄目だ。君は怪我をしている。これ以上の進軍は折れる可能性すら有る。帰城しよう」

確かに僕は重傷に近い傷を負っていたがこんなのなんて事ない。

「でもっ……！」

更に言葉を続けようとした僕の声を遮ったのは明石だった。

「隊長はんの言う通りやわ。無理したところで主はんも悲しみはるし、あんさんもその怪我や。無茶は時に無謀と同じやで？」

頭を撫でられ、説き伏せられる。

僕は少し俯き、今度は素直に頷いた。

「……分かった。我儘言ってごめん、帰ろう」

大人しく本丸に帰った僕は明石に抱きかかえられたまま主のとこに行き手入れを受けた。

そういや普段面倒くさがりの明石が運んでくれたのは意外だったな……