JW設定メモの短編集 (ページ12)

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カナリートルマリンに魅せられて　１－１ページ12

メテオ(流星)side
満月が輝く月夜。パトカーのサイレンを遠くに聞きながら、ビルの屋上で手の中の指輪を月光にかざす。
青「さすが、英国王室にルーツを持つサファイア…そこらのもんとは輝きがちゃうな」
かつん、と足音がした。俺は宝石から音の方へ視線を移す。
重そうな音がして、ドアが開いた。
黄「…やっぱり此処にいた、怪盗メテオ」
真っ白な肌とさらさらの茶髪。折れそうに細い首には、黄色のリボンが結ばれている。噂のとおりなら、此奴は。
青「…『金糸雀』。おまえも警備に駆り出されてたのか」
金糸雀はこくりと頷いた。
金糸雀…中間淳太。日本の探偵の中でトップクラスの知名度と仕事量を誇る探偵。確かな実力と美しい容姿から人気が高い。特徴は、常に黄色の何かを身につけていること。
青❨美しいとは聞いてたが、これは…❩
金糸雀の大きな瞳が俺の顔から、俺の持つ指輪へと移る。
黄「優秀な協力者やね、二人とも。ブレイズがあっちこっち有る事無い事情報を流して警察は大混乱…ビビッドの変装を疑うから人間不信まで起こってる」
金糸雀が一歩、俺に近づく。
青「警察に連絡せんでええんか？おまえ、たしか警察に友達がおるんやろ？」
金糸雀は挑戦的に笑った。
黄「そっちこそ、ブレイズとビビッドに連絡せんでええの？このままやと、袋のネズミやで？」
青「はっ。威勢のいい探偵やな」
まあでも、と金糸雀を見下ろす。至近距離で見ても、この探偵は美しい。この美しい宝石になら、負けるのは悪くないかもしれない。

黄「…っ！！」

金糸雀に一息で近づき、手首を掴んで引き寄せる。腰に手を回し、逃げられないように固定する。
青「っふ、ほんまに綺麗やなぁ、おまえ…」
見開かれた瞳。満月を宿して揺れる瞳は、ただただ美しい。
その瞳に、俺以外の男が映ることを考えると気に食わない。
俺だけを見ろ。俺だけを見ていろ。永遠に。
黄「何、言ってるんや、おまえ…ぁ…」
白く蠱惑的な首筋に口づける。
金糸雀の反応に満足して、腰に回していた手を離す。金糸雀は支えを失い、ずるずると崩れ落ちた。手首だけは離さない。
金糸雀は力が抜けきった状態でも尚、俺を見上げてきっと睨みつけた。その様が酷く扇情的で、思わず口元に笑みが浮かぶ。
いっそのこと、このまま攫ってしまおうか。この美しい宝石が、俺の、俺だけのものになったらどれだけ幸せだろう。
ドタドタと騒がしい足音がする。名残惜しいが、楽しみはとっておくものだ。
青「じゃあまたな、金糸雀。次は」
おまえを盗んでみせるよ。
そう言い残して、金糸雀に背を向ける。
金糸雀の左手の薬指に輝くサファイアが、俺からの贈り物に代わる日を夢見て。