作戦4ー1 ページ6
昼下がりの暖かな時間にも関わらず、車内にはどんよりとした空気が流れていた。
『もう、鬱のせいで
「迎えに来てからずっと、いきなりどないされたんですか？僕、何もしてないじゃないですか！」
結局あの後、Aはスカートを折ることが出来ずにいた。自らが掲げた
「何があったかは、知りませんけどお願いするんですよね？」
『ええ、お父様にガツンと言ってやるのよ！あと、お兄様にも！』
「げっ、グルッペンにも言うつもりかよ！」
『敬語が取れてますわよ！当たり前ですわ！お兄様にも伝えないと、後々拗ねますもの』
「なるほど、わかりました。くれぐれも僕の名前は出さんといてくださいね」
『なぜ？鬱も手伝ってくれるのでしょう？』
『おじきの時だけです』
Aはあからさまにじとーっと鬱を見つめる。だが、鬱はいつもと変わらずへらっと笑い返してくる。
見つめ合い続けている内に、屋敷に着く。鬱はいつものようにAをエスコートし、そっと頭を撫でた。
『なっ！』
「グルッペンはともかく、おじきには一緒にお願いしますから、安心しーや？」
『あ、、当たり前です！元々そのつもりでしょ！？』
一瞬で茹でだこののように真っ赤になったAをおいて、「早く行きますよ」と声をかけて玄関を開ける。Aはそれに続いて顔の前で手をパタパタしながら続く。
『突然撫でないでくださいまし？』
「拗ねるお嬢が可愛もんだからついついね？」
「あ、お嬢と大先生やん！」
それでも、と抗議を続けようとすると、正面から「天」と書かれた紙を顔の前につけた、小柄な男性が手を振ってくる。
「あれ？お嬢。ロボロの声が聞こえるのにどこにも見当たりませんね」
「目の前におるやろ！目腐っとんのか！」
『まあ、ロボロ！朝食ぶりね！こんな昼間から珍しいわね』
「えぇ、急ぎの案件が来たもんやからトントンに直接書類を渡しに行くところですよ」
『それなら引き留めてごめんね？また、ご飯の時会いましょ！』
「お嬢、さすがです。こんなちびにまで優しいお声をかけるなんて……」
「お前は黙っとけ！」
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作者名：留守ぴな | 作成日時：2021年4月29日 22時
