作戦1 ページ3
春、それは別れと出会いの季節。学生でも、学生でなくても、何かが始まる予感がする季節であるのだ。
『どう？【ドキ恋】の引用になりますけど、これでちょっとは
「いやー、僕、お嬢の頭の中覗けるわけじゃないんで、わからないですて〜」
ドヤ顔で専属護衛である鬱に言葉を発した、長い黒髪のなかなかの美少女は、黒川家の箱入り娘のAである。
この奇妙な会話の事の発端は、先日友人のかおると遊びに行った時に貸してもらった
今まで、蝶よ花よと育てられていたAは
その結果どうなるのか?
誰だって初めて見るものには興味を持つもの。そして、それが全く新しい切り口のものであればなおさら。つまり、めちゃくちゃ影響される。
『分からなくても、そこは分かるって言うところですのよ？』
「お嬢、流石に無理ありますて」
「それより、もうすぐ学校に着きますけど忘れ物はありません？」
『ええ、問題ないわ』
『予習、復習、提出物、身だしなみ、、全てが完璧ですのよ！』
「それは良かったです」
そう言って、へらりと笑った鬱に目を向ける。長い前髪に、死んだ魚のような目をして、眼鏡は黒縁。少しくたびれたスーツを身にまとっている。全体的に幸が薄そうな外見だ。
この男が自分の専属護衛に指名された時は、両親の人を見る目を疑ったものだと、懐かしい思い出に浸る。
(そういえば、【ドキ恋】の恋子ちゃんは身近にいる異性を意識してから、
(まだ、最後まで熟読できておりませんが、それが鍵なら鬱を眺めていれば何かわかるかも……！？)
長い前髪で片目は隠れているし、顔色も悪い。そして、胡散臭そうな笑顔。不健康そうな体格で、護衛できるのかが心配になる。
(悪い要素しかなくって！？確かに外見はお兄様やコネシマの方が大変優れているけど………)
(あら？……でもよく見たら顔立ちは整っている方だし、エスコートであったり気遣いは組の中でもピカイチね……ちょっと照れてきた)
「……お嬢、いつまで見つめるんです？」
『ごめんあそばせ！』
作戦1異姓を気にする→失敗
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作者名：留守ぴな | 作成日時：2021年4月29日 22時
